徳島県のとくしま記念オーケストラ事業に絡む脱税事件で有罪判決を受けた東京の音楽プロダクション「アンサンブル・セシリア」(解散)が、県文化振興財団から事業費とは別枠で演奏会の準備に要した経費として、2013~16年度の4年間に3千万円弱を受け取っていたことが分かった。

 情報公開請求で判明した新たな事実である。昨年5月末に脱税事件が発覚してから直近の県議会2月定例会に至るまで、県はこの準備経費の存在を説明していなかった。

 県が都合の悪い情報を隠していたと言われても仕方がなかろう。

 県は昨年6月、プロダクションに13年8月からの3年間で事業費約3億6800万円が渡っていたことを明らかにした。

 その後、今年に入って、プロダクションの川岸美奈子元代表取締役が県内を移動する際に利用していたハイヤー代700万円以上(13~16年度)を財団が負担していたことが分かった。これも情報公開請求の結果、判明した事実である。

 飯泉嘉門知事は事件発覚当初、「県民の疑念の払拭(ふっしょく)に努める」と繰り返し語った。しかし、県の調査ではなく、情報公開請求によって新事実が明らかになるようでは、発言の本気度が疑われる。

 今回の情報公開を巡って、県職員が請求者への開示前から県議に説明して回っていたことも問題である。県議の反発を抑えるために、事前に説明し、理解を求めたのではないか。組織を守ることを第一に動く姿勢は疑問だ。

 県議会も、県の根回しで不問に付すならば、行政となれ合いになっていると受け取られよう。

 記念オケ事業は、県と財団が緊密に連携してきた。それにもかかわらず、知事は準備経費の支出について「財団の判断だ」として、県は関与していないと主張する。それならば、なぜ財団ではなく県の職員が県議に説明して回ったのか。

 知事は、分かりやすく見解を示してもらいたい。

 今も、県民が疑念を深めるような事実が次々に明らかになるのは、知事をはじめ県が十分な調査をせずに幕引きを図ろうとしているからではないのか。

 他の文化予算が抑制される中で、知事肝いりのクラシック音楽事業が組織を挙げて推し進められてきた。

 しかも、知事と旧知の仲の川岸氏が記念オケ事業に企画、運営双方の立場で関与する状況で、巨額の県費が投じられていたのである。

 いまだに、川岸氏がなぜ、事業に深く関わるようになったのか、知事からも川岸氏からもきちんとした説明がなされていない。中途半端な形で決着を図るのは許されない。

 もう、水面下に隠れている事実はないのか。知事は包み隠さず、明らかにする必要がある。