「戦争だった。部隊が全滅すると思った」という隊員の証言は危険だった状況を物語る。

 南スーダンで2016年7月に起きた大規模戦闘の際、国連平和維持活動(PKO)に派遣中の陸上自衛隊部隊が、通常武器を持たない隊員も含め全員に武器携行命令を出していた。

 首都ジュバで、政府軍と反政府勢力が戦闘。陸自の宿営地近くのビルでも激しい銃撃戦が起きた。宿営地内の武器庫から小銃を取り出し、実弾を装塡(そうてん)して備えたという。

 当時、政府は「武力紛争ではない」と説明していたが、実態は大きく食い違っていたのではないか。PKO参加には、「紛争当事者間の停戦合意」など5原則を満たすことが条件となっているが、この参加の根拠が崩れていた可能性も強い。

 小野寺五典防衛相は、PKO参加5原則は「確実に守られていたと認識している」と強調するが、この説明に納得できる人がどれほどいるだろう。当時の状況を含めて、早急に検証しなければならない。

 7月7~12日の日報について政府は昨年2月に公表しているが、読み取れるのは簡単な事実関係にとどまり、部隊の警備態勢や対応が記載されているとみられる部分は黒塗りだ。

 それだけに、今回の証言は重大な意味を持つ。

 宿営地で何が起きて、自分たちが何を思ったのか国民に全く伝わっていない。証言した隊員はそう考えている。防衛省は不都合な情報を隠す体質を改め、信頼回復に努めてほしい。