専用の餌を与えられ飼育されている阿波とん豚=石井町

 徳島県が開発したブランド豚「阿波とん豚(とん)」の肉は一般的な豚肉より柔らかく、うま味と甘味が強いことが日本食品分析センター(本部・東京)の比較試験で分かった。味や肉質の良さが実証された形で、試験を依頼した県畜産研究課は一層の普及に向け、PRに生かすことにしている。

 阿波とん豚と一般的な豚肉を▽熟練した評価員が食感や味、臭いを判定する官能評価▽味覚センサーによる分析▽機械で肉の柔らかさやアミノ酸などの含有率を調べる物性・成分分析▽専用の機器による臭いの分析―の4方法で比較した。

 官能評価では、柔らかさとジューシー感、甘味、うま味、総合評価で阿波とん豚が上回り、臭みと風味は同等だった。味覚センサーによる分析でも同様の傾向が確認された。

 物性・成分分析では一般的な豚肉より柔らかくてかみ切りやすく、保水性や脂肪の含有量が高かった。臭いの分析では脂臭さ、酸化臭、カビ臭など臭気成分7項目が低かった。

 県畜産研究課は、肉質の優れたイノシシの遺伝子を受け継ぐことや、動物性油脂を含まない専用の餌を与えていることが好結果の要因とみている。

 2013年に販売が始まった阿波とん豚の生産量は13年度61頭、14年度135頭、15年度236頭、16年度384頭と増加し、17年度は500~600頭になる見込み。しかし、肉は県内20店舗で週末中心の販売に限られ、増産と消費拡大が課題となっている。

 養豚を担当する県畜産研究課の新居雅宏専門研究員は「阿波とん豚の良さを客観的に証明できた。これを機に生産者を増やし、消費拡大にもつなげたい」と話している。

 <阿波とん豚> 県の銘柄豚「阿波ポーク」の基になった阿波ヨークにイノシシの肉質が伝わる遺伝子を掛け合わせ、さらに別品種の豚との交配を重ねて開発された。麦を主体とした専用飼料を与えており、肉は鮮やかな赤色できめが細かい。現在、阿波、石井、上板3市町の3軒の養豚家が生産している。