[上]台風21号の強風で吹き飛んだ瓦=那賀町木頭出原 [下]枝の折れたユズの木を指さす西岡さん=那賀町木頭南宇

 22日に徳島県内を暴風域に巻き込んだ超大型の台風21号の強風で、那賀町木頭地区の30軒以上の家屋、倉庫の瓦や屋根が吹き飛ばされるなどの被害が出ていたことが分かった。同地区では最大瞬間風速34・9メートルを観測しており、盆地状の地形も相まって強風が吹いたとみられる。住民は修繕作業に追われているが、29日昼すぎには台風22号が最接近する見通しで、「雨漏りが心配だ」と不安を募らせている。

 町役場木頭支所によると、被害は木頭北川、木頭出原の少なくとも30軒で確認されている。瓦が2、3枚が飛ばされた民家や、アルミ製の屋根が半分吹き飛んだ家もあった。大半は空き家で、人が住んでいるのは4軒だった。

 木頭北川の和田剛志さん(51)宅は風が強まった22日夜、幅約12メートル、長さ約4メートルのアルミ製の屋根が吹き飛んだ。「グアンと風が巻き上げるような音がしていた」と和田さん。午後11時ごろ、ガシャンという音を聞いて外を見ると、自宅西側に屋根が落ちていた。「木に引っ掛かったので、隣の家まで吹き飛ばなくて済んだ。人に当たらなかったのが不幸中の幸い」と話す。

 翌日、修理業者に連絡したものの、予定が詰まっており、26日にようやく修繕できた。雨漏りがひどく、ビニール袋を敷いたり新聞紙で拭き取ったりしてしのいだという。

 木頭北川ではほかに国道や町道沿いの民家などの屋根が飛ばされる被害が目立った。

 22日午後11時25分に同地点での観測史上最高となる最大瞬間風速34・9メートルを記録した木頭出原も、家屋が被害に遭った。

 50代女性宅では、物置などに使っている木造1階の建物の瓦約100枚が飛ばされ、周辺の道路などに散らばった。女性は翌朝に発見し「びっくりした。家の目の前は空き地なので、風の通り道になったんじゃないか」と推測する。その日に業者を呼び、トタン屋根に変えて直してもらった。

 今回、被害が集中した那賀町木頭地区は、剣山南麓にある標高約300メートルの盆地。一般的に山あいの谷筋では強い風が吹きやすく、台風の風が強まって集落を襲った可能性がある。徳島地方気象台は「当時、現地がどのような状況だったのかは分からない」としている。


 ◆特産ユズも大きな被害 収穫期迎え肩落とす農家

 台風21号の強風では那賀町特産の「木頭ゆず」も大きなダメージを受けた。9月には県内で初めて、国が地域ブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」の対象に選ばれたばかり。収穫期を迎えた中での強風禍に、ユズ農家はがっくり肩を落としている。

 町農業振興課によると、被害が出たのは木頭南宇と木頭北川で計30ヘクタール。ユズの果樹が強風にあおられ、枝が折れたり、収穫前の実に傷が付いたりといった被害が出たという。

 木頭南宇のユズ農家西岡稔高さん(49)は52アールの畑で栽培し、例年10トンほどを出荷しているが、台風の影響で今年の収量は3~4割減を見込む。台風襲来は分かっていたが、7月に与えた農薬の効果が消えるのを待っていたため、十分に収穫できなかったという。

 西岡さんは「収穫前で実がたくさんなっていたので、風で揺れると重みで落ちてしまった。例年より色がきれいだったのに残念だ」と顔を曇らせた。