徳島駅で販売されていた阿波地鶏弁当

 徳島駅の駅弁が販売不振で姿を消し、駅弁を取り扱う駅が県内にない状態が続いている。駅弁の愛好家によると、全国で駅弁がない都道府県は徳島と沖縄の2県だけ。郷土色豊かで、旅のお供とも言える駅弁がない状況は、観光面でマイナス材料となりそうだ。

 徳島駅の売店キヨスクでは、徳島名産の地鶏、阿波尾鶏の入った幕の内タイプの「阿波地鶏弁当」をはじめ、「徳島牛弁当」「徳島食べくらべ」の3種類の駅弁を販売していたが、2016年8月に取り扱いを終了した。

 調理していた徳島市の業者が撤退したためで、業者は「徳島は鉄道に乗る人が少なく、一日に3個くらいしか売れなかった。徳島を代表して駅弁を作っているという思いから、10年以上頑張ってきたが、持ちこたえられなかった」と説明する。

 県内では、約5年前に貞光駅の阿波尾鶏を使った駅弁が販売を終了。かつては阿波池田駅でもアユのすしなどが販売されていたが、近年は徳島駅だけだった。

 駅弁は、航空機や新幹線の発達で長時間の鉄道旅行をする人が少なくなった上、コンビニエンスストアに客を奪われ、取り扱い業者は全国的に減っている。全国の駅弁を紹介するウェブサイト「駅弁資料館」を開設している福岡健一さん(43)=会社員、横浜市=によると、最も多かった時期に比べ、調理業者は半減し、駅弁がない都道府県は徳島と、ゆいレール・壺川駅前の弁当販売が今年2月ごろに終わった沖縄だけという。

 福岡さんは「観光や出張で訪れた人にとって、駅弁が買える駅と買えない駅とでは印象に差がある。特急が発着する徳島駅と阿波池田駅で駅弁が買えないのはとても寂しい」と指摘する。

 JR四国のグループ会社で、駅弁業務を担当するステーションクリエイト東四国(高松市)の小原知久取締役=吉野川市出身=は「駅弁は鉄道の旅の魅力。業者に働き掛けて復活を図りたい」と話している。

 ◆駅弁◆ 日本鉄道構内営業中央会(東京)に加盟する業者の弁当が代表的で、共通のマークを付けて販売され、時刻表でも紹介されている。徳島駅で販売されていた阿波地鶏弁当の調理業者は同会に加盟していないが、JR四国が駅弁として紹介していた。駅弁の定義は明確ではなく、ウェブサイト「駅弁資料館」では独自の定義に基づき約5600品を駅弁として紹介している。