朝鮮半島情勢は重大な局面を迎えている。先月の南北首脳会談に続き、6月上旬までに米朝首脳会談も開かれる予定だ。

 そうした中、安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領が東京都内で会談し、北朝鮮による核・ミサイル計画の完全放棄に向けた連携を確認した。

 とりわけ、北朝鮮との関係が深い中国が日本や韓国と結束して取り組む意味は大きい。非核化への前進を実感させるもので、評価できる。

 日中韓首脳会談は毎年開催される予定だったが、今回は約2年半ぶりとなった。領土問題や中韓関係の悪化、韓国政界の混乱などが影響し、先送りされてきたからだ。

 しかし、北東アジアの平和と安定を目指す上で日中韓の緊密な連携が不可欠なことは言うまでもない。これを機に改めて関係構築に努めてもらいたい。

 会談では、北朝鮮のあらゆる種類の大量破壊兵器と弾道ミサイルについて、完全かつ検証可能で不可逆的な方法による廃棄への協力で一致したほか、国連安全保障理事会の対北朝鮮決議の完全履行も確認した。

 ただ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、非核化に合わせて段階的な制裁緩和や経済支援などの見返りを求める姿勢だ。中国もそのことに理解を示している。

 これに対し、日米韓は短期間での実現を目指しており、「段階的措置」に否定的だ。
非核化への進め方では、必ずしも日中韓の足並みがそろっているわけではない。米朝首脳会談を前に、日米韓は中国の意向も踏まえた綿密なすり合わせが必要だろう。

 拉致問題に関し、安倍首相は中韓首脳に早期解決への協力を要請、理解を得たとしている。この問題では、日本は「米韓頼み」の状態が続いている。北朝鮮への働き掛けを強めるためには中国の協力も重要だ。今後も日本の立場を訴え続けてほしい。

 今回の首脳会談は北朝鮮の核・ミサイル問題への対応が主要議題となったが、経済など幅広い分野で協力を確認できたことも大きい。

 経済では、自由貿易推進がアジア地域の「繁栄の礎」につながるとし、3カ国の自由貿易協定(FTA)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の推進などを盛り込んだ。

 また、2020年の東京夏季五輪、22年の北京冬季五輪をにらみ、3カ国の人的交流の拡大についても明示した。活性化を期待したい。

 首脳会談後、安倍首相は李氏、文氏と個別に会談した。韓国大統領や中国首相の来日は6~7年ぶり、李、文両氏の来日はいずれも就任後初めてだ。

 日中、日韓にはそれぞれ歴史認識など隔たりのある問題が少なくない。2国間に懸案があっても3カ国協議で融和を図ることが大切だ。対話の努力を怠ってはならない。