学校法人「加計学園」による愛媛県今治市での獣医学部新設を巡って、衆参両院の予算委員会は、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)を参考人招致した。

 国家戦略特区制度による新設は「加計ありき」ではなかったのか―。柳瀬氏はこの疑念を晴らすだけの十分な説明ができなかった。むしろ、加計学園への厚遇ぶりが鮮明になったと言える。

 柳瀬氏は、2015年に3回、首相官邸で加計学園関係者と面会したことを明らかにした。加計孝太郎理事長との関係について、安倍晋三首相が13年5月に、別荘でバーベキュー、ゴルフ場でコンペをした際に同行したと述べた。

 特定の事業者と随分、頻繁に会っているという印象だ。

 柳瀬氏は「国家戦略特区の関係で会った民間の方は加計学園だけだ」と明言。首相と加計理事長については「友人関係とは認識していたが、特別扱いしたことはない」と強調した。

 だが、額面通り受け取る国民がどれだけいるだろう。

 柳瀬氏は学園関係者と官邸で15年2月~3月ごろと、4月、6月上旬ごろの計3回会ったとし、計画は15年2月~3月ごろの面会で認識したと説明した。

 加計学園関係者らとの面会について、柳瀬氏は「首相に事前にも事後にも報告したことはない」と述べた。

 首相は、新設計画を初めて知ったのを「加計学園の計画が認定された17年1月20日」と主張している。

 これと矛盾する説明は、柳瀬氏にはできないということなのだろうか。

 野党議員が疑念を呈したように、加計学園側と会ったことを首相に一切話さなかったというのは、どう考えても不自然である。

 しかも、3回も面会したという重要な事実を今ごろ認めるとは、国会や国民に対する誠実さを欠いている。

 愛媛県職員は15年4月2日に、今治市職員や加計学園関係者と共に柳瀬氏に官邸で面会し、「首相案件」との発言があったとする文書を作成している。

 これについて柳瀬氏は「獣医学部新設は総理が『早急に検討していく』と述べている案件との趣旨は紹介したと思う」と説明。加計学園の個別案件を指したものではなく「伝えたかった趣旨とは違う形で伝わっている」との認識を示した。

 そうであれば、文書を作った愛媛県側の言い分も国会の場で聞かなければなるまい。

 柳瀬氏は「記憶の限り、愛媛県や今治市の職員とは会っていない」と主張してきたが今回、「分からないが、10人近くの随行者の中にいたのかもしれない」と修正した。

 これらの「記憶」の信ぴょう性を確認するためには、他の証言者も必要である。

 野党側は追及を強める構えで、加計理事長らの証人喚問を求めている。与党も前向きに検討すべきだ。