東日本大震災の津波被害に遭った後、修復された資料を整理する学芸員=徳島市の県立博物館

 東日本大震災の津波被害を受けた後に修復された岩手県陸前高田市の歴史資料を紹介する企画展が16日から、徳島市の県立博物館で開かれる。県内で南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、歴史資料の保全意識を高めてもらおうと四国で初めて企画された。

 陸前高田市では、市立博物館や市立図書館など4博物館・施設が津波で壊滅し、計56万点の資料が海水に漬かったりがれきや泥に埋もれたりした。全国から駆け付けた学芸員や市民ボランティア、自衛隊員らが、そのうち46万点を見つけ出し、現在は劣化防止や修復作業が進められている。

 企画展では、3施設に収蔵されていた漁具や土器、書物のほか、徳島県立博物館が修復に携わった植物の標本など約100点を展示し、それぞれの修復過程を写真と文で紹介するパネルを並べる。修復する前と後のチョウの標本箱などの資料も置き、被害の実態を分かりやすく伝える。

 県内の事例を紹介するため、2014年の台風11号による浸水被害の後、学芸員らが修復した江戸期~大正期の古文書なども展示する。

 大規模な自然災害が起きると、人命救助や生活再建が優先され、地域の歴史などが刻まれた資料は放置されるケースが多い。長谷川賢二学芸員(54)は「東日本大震災の津波被害の実態を知ってもらい、貴重な歴史資料を大切にする意識が高まればうれしい」と話している。

 来年1月21日まで。入場無料。17日と1月21日に長谷川学芸員による展示解説、1月14日には岩手県立博物館の学芸員らが、文書や植物標本などの修復方法を指導するワークショップがある。ワークショップは定員40人で要予約。問い合わせは徳島県立博物館<電088(668)3636>。