いろどりが導入した新システムの画面。注文や出荷などの情報を同時に共有できる

 葉っぱビジネス「彩(いろどり)」の販売支援を行う上勝町の第三セクター・いろどりが導入を進めていた無料通信アプリ・LINE(ライン)を活用した販売情報システムが今月上旬に稼働を始めた。彩の生産者、築地市場(東京)の卸売業者らが注文や出荷などの情報を同時に共有でき、スムーズな取引につながっている。

 新システムの画面には、320種類あるつまものの値段やサイズ、出荷可能な時期などの情報が表示され、それを元に仲卸業者や卸売業者が商品を注文する。注文内容は即座にLINEやメールで生産者やいろどり、JAに配信される仕組み。ファクスや電話を経由しないため、生産者は手元のスマホから情報を得て即座に収穫や出荷の作業を始められる。

 新システムには仲卸業者や卸売業者が、生産者を指名できる機能も盛り込まれた。従来は出荷量の多い生産者が注文を取りやすかったが、新機能で好みの商品を求める料亭などの要望に的確に応えられるようになった。特定のファンが増え、生産者のモチベーションアップにつながりそうだ。

 4日から新システムは稼働し、現在は生産農家165戸が登録。卸売業者は2社が利用しており、1日100件前後の取引がある。今月末までに仲卸業者の利用も始める。

 いろどりは、システム導入による受注増を見込み、年間2億6千万円ほどの販売額(葉わさびなども含む)を、数年内に3億円に伸ばす目標を掲げている。

 30年前の彩事業発足当初から携わる高尾晴子さん(73)=同町正木=は、葉ツバキやナンテンなどで指名注文を受けた。「以前と比べて作業に早く取り掛かれ、便利になった。品質を認めてもらえてうれしい」と話している。


 ■労働時間の短縮に期待

 上勝町のいろどりが導入した販売情報システムは、ソフトウエア開発会社の「サイボウズ」(東京)と「レキサス」(沖縄県うるま市)が開発に携わった。農業関係者の業務効率化につながるとして3社は連携し、全国の生産地への導入を目指している。

 上勝町の彩のように、ニッチ市場を狙って単価の高い農作物を作る生産地をターゲットにし、仲卸業者らとのマッチングを図る。

 いろどりは、現地の農業関係者らのサポートを担当し、ITを活用した生産体制のノウハウを伝授する。今後3年間で10地域への導入を目標に掲げており、マンゴーやドラゴンフルーツなどを生産している沖縄県久米島町が検討している。

 新しいシステムは、労働時間の短縮につながると期待されている。生産者、いろどり、JA、卸売業者、仲卸業者、料亭の料理人らの勤務時間帯は異なる。従来は情報の伝達に手間がかかり、担当者が勤務時間外に対応するケースも多かったという。

 いろどりの横石知二社長は「安い物を大量に作って、働けば働くほど、もうかるという時代ではない。効率良く、高い単価で稼ぐ農業の仕組みを広げ、次世代の農家育成にもつなげたい」と話している。