外国人が日本の介護現場で働くための新しい仕組みがスタートした。外国人技能実習制度の対象職種に新たに介護職が加わり、「第1号」として中国人女性2人が6月にも来日する見通しとなった。

 受け入れを希望する国内事業者からの申請は、既に100件を超えている。この制度を用いて中国のほか、ベトナム、フィリピンなどからも来日が相次ぐとみられ、動向に注目したい。

 技能実習制度は1993年、外国人を企業や農家などで受け入れ、習得した技術を母国の経済発展に役立ててもらう、との趣旨で始まった。

 建前と実情には大きな開きがある。わが国の人材難を埋める労働力として、技能実習生は日本社会を支えている。

 介護現場の人手不足は特に深刻だ。国の推計では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に38万人の介護職が不足する。

 介護実習生を「使い捨て」人材として扱ってはいけない。制度の建前も尊重すべきだが、彼らは超高齢社会を支える貴重な人材となり得る。地域社会に根付いてくれるよう、国や事業者の細やかな配慮が必要だ。

 介護現場で働くことを望む外国人にとって、最大の難関は言葉だ。日本語の読み書きは難しい。会話が通じるようになっても、漢字の習得には別次元の苦労がある。

 テストの合格・不合格が、日本で働き続けるための在留資格と直結する。不合格となれば、そのまま帰国という厳しい現実がある。

 介護実習生に課せられる日本語力の条件は、「入国時に『日本語能力試験』N4(基本的な日本語を理解できる)、さらに1年以内にN3(日常的な場面の日本語をある程度理解できる)に合格」というもの。

 クリアしないと、最長5年の在留資格は認められない。実習生を送り出す国側の反発は強い。「大半は不合格になって帰国させられる」という懸念があるからだ。

 厚生労働省はこの声に向き合うべきだ。介護現場で働くための日本語力やコミュニケーション力は、一般の外国人を対象にした日本語能力試験とは求められるものが違う。柔軟な対応が望まれる。

 言葉の壁はさらに続く。永続的に日本の介護現場で働くには、国家試験である介護福祉士試験に合格しなければならない。

 技能実習制度と別に、経済連携協定(EPA)に基づいて来日した外国人介護職も、この試験にパスすることが日本で働き続けるための絶対条件だ。

 漢字の専門用語や日本式のカタカナ語を覚える苦労は、並大抵ではない。受験チャンスは2回しかない。

 EPAによる受け入れ開始から10年。日本語の読み書き能力の高低が、試験結果に反映される傾向が強い。有能な人材が空しく帰国するケースを減らさなければならない。