写真に写る船は、どちらが船首なのかよく分からない形をしている。よく見ると、向かって左端部分が白く波を切っており、進行方向だと分かるが、ちょっと不思議な感じがする。

 1954年4月11日に、淡路島の福良と鳴門市撫養町大桑島を結ぶ航路で開業した「県営鳴門フェリー」を写したもので、県内初のカーフェリーだった。

 独特の形となっているのは自動車を運搬するため、通し甲板の上にブリッジを設けているためだ。自動車の向きに合わせて船を港で回転させるため、両方に見渡しが利くようになっている。

 甲板に載っているトラックが大きく見えるが、この船、本来は内海向けの小型船だったようだ。鳴門海峡の潮の速さと、天候によっては内海よりも波が高くなることが考慮されておらず、荒天時には積まれた車まで波をかぶることもあったという。

 手前の海岸に置かれた木造船が時代を感じさせる。この航路は大鳴門橋開通前の1978年9月に廃止された。

 【写真説明】鳴門市撫養町大桑島と淡路島・福良を結んでいた県営鳴門フェリー=1955年、本社所蔵写真