地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)で、シェアハウスの購入資金の融資に関する不正が明らかになった。

 社内調査の結果、融資審査書類の偽造や改ざんなどが行われ、相当数の行員が、それを認識していた可能性が高いことが判明した。

 ずさんな融資が、なぜ横行したのか。外部の弁護士による第三者委員会で詳しい原因を徹底究明し、再発を防止しなければならない。

 スルガ銀行は、不動産会社「スマートデイズ」(東京)が運営する女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」の物件所有者の大半に、購入資金を融資している。

 スマートデイズは、シェアハウス用の物件を所有者から借り上げて女子学生らに転貸し、あらかじめ約束した賃料収入を支払う事業を手掛けていた。だが、入居率の低迷から賃料支払いを停止し、経営破綻した。

 融資を受けた購入資金の返済に窮する所有者が続出しており、スルガ銀行は約700人の所有者の返済条件の見直しを進めている。責任ある対応が求められよう。

 調査結果によると、顧客がスルガ銀行に提出する自己資金残高の証明となる通帳や書類を、スマートデイズの関連会社が偽造、改ざんする例が多数見つかった。さらに、営業部門の幹部が審査部門をどう喝するなど圧力をかけ、審査機能が十分に発揮できていなかったとも言及。「営業部門がスマートデイズと一体になって融資にのめり込んだ」と指摘した。

 しかも、大半の融資を実行したとみられる横浜東口支店では、物件購入と直接関係ない無担保の個人ローンなどの商品を抱き合わせて所有者に販売していた。

 コンプライアンス(法令順守)の意識が欠如していたのは明白である。どうしてこんな手法が行内でまかり通ってきたのか。検査を進める金融庁は、組織的な不正の有無を解明し厳しく対処すべきだ。

 2018年3月末時点のシェアハウス関連融資の残高はスマートデイズ以外の案件も含めて約2035億円で、融資先は1258人に上る。

 スルガ銀行の18年3月期決算の連結純利益は、シェアハウス関連で将来の貸し倒れに備える引当金を積み増したため、前期比50・5%減の210億6500万円となった。

 日銀の大規模な金融緩和政策による超低金利が長期化する中、地方銀行など金融機関は貸し出し利ざやが縮小し、収益の確保に躍起である。

 生き残りをかけて営業活動を強める他の地方銀行も、今回の事例を戒めにすべきだ。

 もちろん、節度を保ち、健全経営に努める銀行の信用度が高まるのは当然である。

 借りる側にも自己責任が求められる。不動産投資では、返済計画で見込んだ通りの収入が得られるとは限らない。それを十分認識せずに融資を受け、利益を追い求めるのは危険であろう。