徳島市の阿波踊りが今年も8月12~15日に開かれる。

 県民や阿波踊りファンからは「果たして開かれるのか」との心配の声も上がっていたが、新たな実行委員会の下で開催される運びだ。

 阿波踊りを巡っては、主催団体の一つである徳島市観光協会(破産手続き中)の阿波おどり事業特別会計で、4億円余りに上る累積赤字が表面化した。

 徳島市は、損失補償を2018年度は行わないことを決め、徳島地裁に協会の破産手続き開始を申し立て、認められた。

 協会は高松高裁に即時抗告したが、棄却された。これを受け、協会側は最高裁への特別抗告はしないと発表した。

 この間、事実に基づかない批判などもあったが、徳島新聞社は阿波踊りの開催を第一に対応してきた。

 阿波踊りは先祖から受け継いできた全国に誇る徳島の文化である。途絶えさせるようなことは、決してあってはならない。

 徳島新聞社は、これまで共催者として、演舞場の現場運営、前夜祭や選抜阿波踊りの運営全般を担ってきた。

 会計運営上の権限はなく、赤字を賠償する法的な責任はない。ただ、共催者として反省すべき点はある。阿波踊りの未来に向けて、積極的に責任を果たすべきだと考え、市に踊りの安定運営と、さらなる振興発展を目的とした基金の創設を提案。原資として3億円を寄付した。

 今回の混乱からは、見過ごしてきた問題が見えてきた。もとより、多くのことも改めて学んだ。

 それは、運営方法を見直していくことだけではない。振興に向けた取り組みはいかにあるべきか。市の財政負担はどうあるべきかなどを、しっかりと議論することだ。

 さまざまな考え方や立場があるにせよ、阿波踊りを後世に伝え、発展させなければならない。その気持ちに違いはないはずである。

 新たな主催団体となる「阿波おどり実行委員会」は、観光業者などと一丸となって、スムーズな運営に力を尽くす責務と使命がある。合わせて、積極的に阿波踊りのよさを国内外へアピールしてもらいたい。

 実行委は徳島市や商工団体などで組織されており、徳島新聞社もその一員として加わった。

 運営面の透明性の向上を図り、改めるべきは改め、残すべきよき伝統は残し、一層、誰からも愛される阿波踊りをつくりあげていかなければならないと考える。

 阿波踊りは戦争でいったん中止されたが、戦後の再開後は県民の支えとなってきた。

 踊りを巡る混乱があったからこそ、例年にも増して、もてなしの心で観光客を迎えることが大事だ。

 未来に向けて、阿波踊りの新たな魅力を引き出しながら、これからも全国のファンの期待に応えていきたい。