300台を突破した移動スーパー「とくし丸」。2012年の創業以来、右肩上がりの成長を続けている=阿南市椿泊町(とくし丸提供)

 軽トラックによる移動スーパー事業を全国展開するとくし丸(徳島市)が、右肩上がりの成長を続けている。「買い物難民」と呼ばれる移動が困難な高齢者のニーズに応え、2012年の事業開始から6年余りで対象地域は43都道府県に広がり、稼働する移動販売車は300台を突破。販売車の売上総額は年間70億円規模に成長した。

 とくし丸によると、販売車は4月に国内の移動スーパー業界で初めて300台を超えた。現在、宮城、新潟、宮崎、沖縄の4県を除く地域で311台(うち徳島27台)が稼働しており、商品供給元となる契約スーパーは96社に上る。今夏には新潟でも開業が決まっている。

 成長の背景には、個人事業主とスーパー、とくし丸本部の3者が連携した独特のビジネスモデルとともに、事業拡大を見込んで16年6月に食品宅配大手オイシックスドット大地(東京)の子会社となったことが挙げられる。同社の組織力や資金力、人材によって契約先の研修や売り上げの管理などが強化され、ノウハウを全国各地に広げる体制が整った。住友達也社長(60)は「年間70億円が動く仕組みを提供できた」と胸を張る。

 特に販売パートナーへのフォロー体制が充実している。パートナー間などで情報を共有するため、活動状況を書き込む掲示板をインターネット上に開設したり、各販売車の売り上げを知らせるメールを毎日送ったり。パートナーが孤立せず、仕事へのモチベーションを維持できるように支えている。

 販売パートナーを目指す希望者は多く、これまでに900人以上の問い合わせが寄せられ、徳島県内では順番待ちの状態が続いているという。

 19年度末には販売車500台の稼働を目指す。住友社長は、過疎高齢化や核家族化を背景に、人口減少に反して伸びる成長市場だと確信している。「潜在的な需要はまだまだある。事業拡大のスピードは遅いくらいだ。あらゆる商品やサービスを提供できる窓口になりたい」と語った。

 とくし丸 「販売パートナー」(個人事業主)が、提携する「地域スーパー」で移動販売車に商品を積み、事前に決めたルートを回って対面販売する。売れ残った商品はスーパーに返す。「とくし丸本部」はノウハウを提供する代わりにロイヤルティーを得る。利益は3者で分け合う。採算確保のため、買い物客に1商品につき10円上乗せで支払ってもらう。2012年2月に徳島市で事業を始め、14年4月の京都府を皮切りに県外へ進出した。