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 鉄道ファンで写真撮影が好きな人「撮り鉄」の間で、確実に素晴らしい光景が撮れる場所は「お立ち台」と呼ばれている。

 「お立ち台」を紹介するガイドブックなども発行されており、徳島県内で必ず取り上げられるのが、東みよし町昼間にある土讃線の吉野川橋梁(きょうりょう)だ。1929年に造られ、全長は570メートル。鋼材を組んで橋桁を支える「曲弦(きょくげん)トラス」が四つ、支柱に乗せる「プレートガーダー」と呼ばれる橋桁が16基連なる。

 付近の土讃線は、阿讃山脈の急勾配を回避する目的で、大きく東に弧を描くように線路が敷設されている。橋梁は吉野川と田畑を南北にまたぎ、周辺に障害物がないため人気の撮影場所になっている。

 全国的に有名になったのは、80年代初頭にさかのぼる。土讃線が国鉄のディーゼル機関車DF50の最後の舞台になり、83年の運行廃止まで撮影に訪れる人を見ない日がないほどだった。

 早朝の吉野川橋梁を訪ねた。霧でかすむ雨上がりの中を一番列車が渡っていった。1両の編成に寂しさが募るが、ガタンガタンという鉄橋を渡る響きは今も昔も変わらない。