魚道に集まった稚アユをすくう漁協組合員=阿南市上大野町の那賀川

 那賀川漁業協同組合連合会(那賀川漁連)は1日、那賀川下流の阿南市で捕った稚アユを、上流域の那賀町で川に戻す「くみ上げ放流」の試みを始めた。ダムによって遡上できない上流に天然の稚魚を運ぶことで、天然アユが泳ぐ川として、那賀川を全国の釣り人にアピールする。

 漁連を構成する流域5漁協の組合員ら約20人が、阿南市上大野町の那賀川北岸用水堰に集合。堰の魚道に集まった6センチほどの天然アユの稚魚を手網ですくい、バケツに収めた。この日は約20キロの捕獲量があった。

 アユ漁解禁(6月1日、上流は7月1日)前の今月20日までに1トンを捕獲。半分を長安口ダム(那賀町長安)や川口ダム(同町吉野)の上流部に放流する。1回目は連休明けの予定。残りは市内の養殖場で約2カ月間かけて13センチ前後まで育て、アユ漁期間中に各漁協管内に放流する。

 初日の捕獲分は水槽車で養殖場へ運んだ。効率的に捕獲するため、川底に網を仕掛ける方法も検討している。

 那賀川漁連は毎春、県内外から購入した養殖稚アユを放流している。これに対し、長安口、川口の両ダム上流にある那賀川上流、木頭村、上那賀町の3漁協では「天然アユは養殖に比べて病気に強く生きがいい」として、くみ上げ放流を希望していた。コスト的にも養殖稚アユを購入するより、メリットが大きいという。

 上流3漁協は今年2月、ダム上流域の生態系回復のため、川口ダムへの魚道設置を県に陳情している。高橋敏雄漁連会長(74)=同市下大野町松ノ本=は「ダム完成後、上流で天然アユが泳ぐことはなかった。釣り人には解禁を楽しみに待っていてもらいたい」と話した。