自由貿易推進による世界経済の拡大を目指してきた先進7カ国(G7)は、「米国第一主義」を押し通すトランプ政権の姿勢により、結束が大きく揺らいでいる。

 史上初の米朝首脳会談を目前に控え、G7の足並みの乱れは会談にも影響を及ぼしかねない。カナダのシャルルボアでのG7首脳会議(サミット)に注目したい。

 各国首脳には、通商政策や国際問題で結束してメッセージを発信できるよう最大限の努力が求められる。

 対立が鮮明になっているのは通商問題だ。

 トランプ政権は1日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課す輸入制限の対象にカナダ、メキシコ、欧州連合(EU)を加えた。

 EUなどは反発し、米国産の工業製品や農産物に追加関税を課す対抗措置を表明。これに対し、トランプ政権は日本の主力産業である自動車や自動車部品でも輸入制限発動を検討中という。

 先のG7財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明をまとめることができず、カナダが議長総括で米国を非難する異例の事態となった。

 G7は「G6プラス米国」の様相を呈してきており、貿易戦争が際限なく広がる恐れも出ている。この事態を阻止しなければならない。各国首脳は打開策を探り、自由貿易体制の維持・強化を打ち出すことが重要だ。

 G7が合意できる数少ない議題の一つが、北朝鮮への対応だろう。

 北朝鮮の完全非核化に向け、国連安全保障理事会による制裁決議の厳格な履行とともに、日本が訴えている拉致問題の早期解決への理解も得られている。

 安倍晋三首相とトランプ大統領との会談でも、トランプ氏が北朝鮮に拉致問題を提起することを再確認。また、北朝鮮の完全非核化へ緊密に連携し、制裁・圧力を維持する考えで一致した。

 ただ、北朝鮮問題を除けば政治・外交面でも米政権と他の参加国とのあつれきは増している。

 トランプ氏は昨年6月、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明し、各国の失望を招いた。

 それから1年、国際協調に背を向ける姿勢は変わっていない。

 先月には、欧州各国の説得を振り切る形でイラン核合意からの離脱を発表した。さらに、イスラエルの「首都」と認定したエルサレムに米大使館を移転するなど、孤立化を深めている。

 日本は、多くの問題で欧州側と歩調を合わせるものの、北朝鮮への対応が米国頼みのため、厳しい態度は取りにくい立場だ。それでも、仲介役は、トランプ氏とも親密な関係を築いている安倍首相しかいないのではないか。

 難しい役回りだが、トランプ氏にG7の分断回避への取り組みを訴えるなど、存在感を示してもらいたい。