政府は、経済財政運営の指針となる「骨太方針」の原案をまとめた。

 国と地方の基礎的財政収支を黒字化する時期を、従来の目標から5年遅らせて2025年度とした。

 財政健全化は喫緊の課題であり、今度こそ達成しなければならない。

 鍵を握るのは、歳出の3割を占める社会保障費の抑制である。16~18年度は、高齢化で膨らむ社会保障費の伸びを年5千億円程度に抑える目標を掲げ、薬価引き下げなどで達成する見通しだ。

 ところが、今回は数値を示さず「高齢化による増加分に相当する伸びに収める」との方針を示すにとどめた。

 19~21年度は、経済財政の「基盤強化期間(仮称)」として、医療機関の外来受診で定額負担導入などの措置を検討する。

 社会保障費は、団塊世代が75歳に差し掛かる22年以降に急増する見込みだ。国民の理解を得ながら、抑制に努めなければならない。

 借金に頼らずに、税収などで政策経費をまかなうのは容易ではない。歳出削減はもちろん、景気回復による持続的な税収の伸びが必要だ。

 そのためには、19年10月に予定される消費税率の10%への引き上げと20年の東京五輪・パラリンピックの後、景気を失速させない方策が要る。

 政府は消費税増税に向け、19、20年度当初予算で「臨時・特別の措置」による景気対策を実施する。住宅や自動車の購入を支援する減税策を検討し、飲食料品などへの軽減税率導入の準備を進める。

 14年4月に消費税率が8%に引き上げられた際、個人消費が大きく落ち込んだ。この経験を踏まえれば、家計の支援を惜しむべきではないが、財政再建への影響も考慮しなければならない。

 地方自治体が自由に使える地方交付税など一般財源の総額に関しては、19~21年度の3年間は「18年度と実質的に同水準を確保する」とした。

 厳しい財政運営を強いられる地方自治体に配慮したことは評価したい。

 一方で、政府は、行政コストを削減するために自治体間の連携を推進するほか、自治体の貯金に当たる基金の残高や使途の公表を促す。

 自治体側にも努力が求められるのは当然である。

 少子高齢化に景気回復の動きが重なり、各業界は人手不足に直面している。25年度は建設業で47万~93万人の技能労働者が、介護でも34万人の職員が不足するとみられる。

 方針では、中小・小規模事業者で深刻化する人手不足への対応を掲げた。一定の専門性や技能を持つ外国人を幅広く受け入れるために、新たな在留資格を創設する。

 地方でも、人手不足から閉店や休業に追い込まれる事業所が後を絶たない。

 外国人の就労を拡大するのは有力な方策だ。多様性に富む労働力を確保し、安定的な経済成長を図る必要がある。