汚染水から放射性セシウムを取り除く装置=阿南市中大野町の阿部鉄工所

 徳島大大学院ソシオテクノサイエンス研究部と産業機械メーカー・阿部鉄工所(阿南市中大野町)は、放射性セシウムの汚染水からセシウムを約90%除去する装置を共同開発した。取り除いたセシウムは濃度が高いため厳重な保管施設が必要になり、現時点では原発事故があった福島県での活用には課題が残る。ただ、セシウム以外にも化学物質などの除去による水質浄化への応用に期待が持たれている。

 装置は縦2・5メートル、横1・2メートル、高さ1・5メートル。徳島大の安澤幹人准教授(電気化学)によると、セシウムを吸着する性質を持つ青色顔料プルシアンブルーナノ粒子を汚染水に混ぜた後、プルシアンブルーを凝集剤で塊にして沈殿させる。凝集剤には磁性がある特殊なものを使い、磁石を近づけるとセシウムを含む沈殿物だけが水中から引き寄せられる。

 依頼を受けた阿部鉄工所の阿部兼美代表取締役(66)らが、一連の手順を自動で行う装置を製作した。汚染水を装置に流してプルシアンブルーや凝集剤と混ぜ合わせ、排出口付近の磁石で沈殿物を吸着する。1日当たり約2・9トンの汚染水を処理できる。

 装置では、セシウム汚染物の焼却灰に水を混ぜ、溶け出したセシウムを取り除くことも可能。東京電力福島第1原発事故の影響を受けた地域では現在、放射性セシウムに汚染された木材などを焼却した後、セシウムを含む灰をセメントで固めて施設で管理している。この焼却灰を装置にかけると、灰からセシウムだけを除去できるため、処理前より貯蔵スペースを減らせる。

 安澤准教授は「現時点で福島での活用は難しいが、今後、多様な場所で使えるよう技術を向上させたい。セシウム以外に水中から重金属や化学物質を除去するのにも応用できるだろう」と話している。