通常国会の会期末が20日に迫った。与党は重要法案の処理を加速させるため、会期を延長する方向で検討中だ。

 政府・与党が今国会で成立を目指す法案の中には、野党との対立の溝が埋まっていないものも少なくない。学校法人「森友学園」「加計(かけ)学園」を巡る疑惑の解明も進まず、うみを出し切れていない。

 12日には、世界が注視した米朝首脳会談が行われた。日本が今後、北朝鮮の非核化や拉致問題にどのように取り組んでいくのか国民の関心も高く、安倍晋三首相の外交方針についての説明が求められている。

 問題が山積している。十分な審議時間を確保し、それぞれの事案において国民が納得できるよう論議を尽くしてもらいたい。

 安倍首相が今国会の最重要課題と位置付ける働き方改革関連法案や、カジノを中核とする統合型リゾート施設(IR)整備法案などはまだ成立していない。野党側の抵抗が強いからだ。

 中でも疑念を持たれているのが、働き方改革法案の高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設である。

 「長時間労働や過労死を助長する」との批判を払拭(ふっしょく)できていないばかりか、政府が「働く人のニーズがある」との根拠にしたヒアリングの大半は、法案提出を目前にして実施されていたことが判明するなど、データのずさんさも次々と明るみに出ている。

 IR法案にしても、指摘されてきたギャンブル依存症対策は不十分なままだが、与党は強引に押し切るようだ。

 不満の残る審議内容と言わざるを得ない。

 さらに驚くのは、参院選の「1票の格差」是正に向け、定数を6増する公選法改正案の成立も視野に入れていることだ。あまりに拙速すぎる。現状では、野党はもとより国民の理解も得られまい。

 先の新潟県知事選で与党系候補が勝利し、与党内に国会運営で強気の姿勢が目立つようになってきた。

 森友・加計問題で野党は、安倍首相の妻昭恵氏や佐川宣寿前国税庁長官、加計孝太郎学園理事長らの証人喚問などを要求している。

 これに対し、与党は一切応じない考えだ。知事選勝利を受け、「疑惑追及に国民はうんざりしている」との見方も出ている。国民感情と大きく乖離(かいり)していることを自覚すべきではないか。

 会期の延長幅を巡り、長くすれば野党から追及される機会が増えるとして、政府は短くしたい意向のようだが、小手先の対応は許されない。

 外交政策や森友・加計問題では、集中審議が不可欠だ。また、1年半ぶりとなった先の党首討論では議論がかみ合わず、不要論さえ出た。頻繁に行い、充実した論戦となるよう知恵を絞ってほしい。

 そうした点も考慮し、大幅な会期延長を望みたい。