徳島県議会6月定例会がきょう開会する。知事選を来春に控え、各種団体から飯泉嘉門知事の5選出馬を求める要請が相次ぐ一方、多選の弊害を指摘する声もある。議会は冷徹な目で飯泉県政を総括しなければならない。

 出馬要請は、飯泉知事の意を受けた副知事が各種団体に依頼して行われており、知事の5選出馬の意思の表れといえる。こうした出馬要請をもって「県民から推された」とし、正式に出馬表明するのが従来のパターンである。

 県民の負託を受けた県議が行政運営を厳格にチェックし、それを基に県民が知事を評価するのが本来の姿だろう。県議は、自身が担う役割と責任の重さを十分に自覚してもらいたい。

 定例会でただすべきは知事の多選の問題である。

 最も懸念されるのは、知事に権力が集中し、独善的になってしまうことだ。

 そうした弊害が、とくしま記念オーケストラ事業を巡る問題から透けて見える。

 事業に関わった東京の音楽プロダクションの元代表取締役、川岸美奈子氏が脱税容疑で告発されたのを機に浮上したこの件からは、不透明な金の流れ、クラシック音楽への偏重、過度な川岸氏の重用ぶりが明らかになった。

 知事ら県側は真摯に向き合おうとせず、1年がたっても疑念は払拭されていない。

 県の事業委託先の県文化振興財団が2013~16年度に川岸氏に対し、事業費とは別に演奏会の準備経費として約3千万円を支払っていたことも新たに分かっている。

 知事の独善なのか、職員の忖度によるものか。組織は硬直化していまいか。県議は問題の本質に、しっかりと迫ってほしい。

 これまでの施策についての検証も欠かせない。

 徳島ヴォルティスのJリーグ参入や、とくしまマラソン開催といったにぎわいづくりについて評価する声がある。

 一方で、人口減少対策、産業振興、観光客の誘致など課題は残る。昨年の糖尿病死亡率は、全国ワースト1位に再び転落した。

 課題の解決が進まない要因には、施策のマンネリ化や実効性の欠如があるのではなかろうか。

 県では、大きな課題が持ち上がると、関係者による「対策会議」を設けるのが慣例になっている。しかし、会議での提言や議論が、有効な施策に結び付いていない。会議を設置することが目的化しているようにも映る。

 他県の後追いも目につく。徳島阿波おどり空港への国際定期便の誘致は、インバウンド(訪日外国人旅行者)対策で先んじて国際定期便を就航させた香川、愛媛両県に倣ったのだろう。15億2千万円を投じてターミナルを整備し、1月に運用を始めたものの、定期便は実現していない。

 飯泉県政は、県民に何をもたらしたのか。定例会で浮き彫りにしてほしい。