修復に向けた準備が進められる聖観音坐像=徳島市の丈六寺

 徳島市丈六町丈領の丈六寺は、国指定重要文化財「聖観音坐像(しょうかんのんざぞう)」を1959年以来、56年ぶりに修復する。観音像表面の金箔(きんぱく)や漆がはがれ落ちるなど傷みが激しいため。修復は奈良国立博物館(奈良市)内の修理工房で約3年かけて行われる。

 観音像はヒノキの寄せ木造りで高さ約3・1メートル。平安時代末期の作と伝えられる。立ち上がれば背丈が1丈6尺(約4・85メートル)に達することから「丈六仏」と呼ばれ、寺号の由来となっている。

 豊田靖匡(やすただ)住職(68)によると、約2年前に文化庁の職員らが訪れ、「観音像が相当傷んでいる」と早期の修復を勧められた。当時は書院の改修中だったこともあり、本年度からの実施となった。

 修復作業は文化財の保存修理を行う公益財団法人美術院が行う。はがれた金箔や漆は復元せず、腐食部分を補強するなどして現状を保つ。観音像の一部を解体して薫蒸処理した上で、16日に4トントラックで奈良国立博物館に運ぶ。

 寺では6月末から搬送に向けた作業を開始。美術院の職員らが、観音像に剥落(はくらく)防止のための和紙を張ったり保護用の布で包んだりしている。

 修復費は約6800万円。国が約6割、残りを寺と県、市が負担する。豊田住職は「修復された観音像を多くの人にまた見てもらいたい」と話している。

 観音像は1911年に国宝に指定されたが、50年の文化財保護法改正で国の重要文化財に変更された。19年に修復した際に高さ32センチの胎内仏を発見。59年にも修復された。