青石の採石地を訪れ、森下さん(右端)に話を聞くロマニさん(中央)とサクリストさん=神山町阿野の広石渓谷

 彫刻家イサム・ノグチ(1904~88年)を研究しているフランスの美術評論家と画家が21日、神山町を訪れ、ノグチがパリ・ユネスコ本部の日本庭園に用いた青石の採石地を視察した。2人は青石の美しさに強く魅せられた様子で、画家は創作のモチーフにする意向を示した。

 神山を訪れたのは、仏政府の海外派遣事業で京都市に滞在中の評論家ヴァンサン・ロマニさん(39)と、知人の画家アンヌロー・サクリストさん(45)。2人は5月に来日し、10月末までの日程で日本文化に触れている。ロマニさんはノグチの足跡をたどる中で、ユネスコ日本庭園に神山町産の青石が使われていることを知り、サクリストさんも青石に興味を持った。

 2人は採石地に詳しい森下周計さん(74)=同町阿野=の案内で、青石58個が採取された鮎喰川支流の「広石渓谷」を見学。河原に下りて青石に触れたり、当時の作業写真を見たりしていた。

 ロマニさんは「フランスでは自然石を運んで造園するという発想がない。遠いフランスまで、神山から持っていった情熱にも驚く」と感嘆。サクリストさんは和風庭園や滝を描いた作品を発表しており、「来年1月にパリで開く個展の題材にできれば」と語った。

 ロマニさんは20日には、ノグチの助手としてパリでの庭園に携わった造園家鈴江基倫さん(84)=徳島市南佐古四番町=を表敬し、懇談。「素晴らしい体験だった。現地に来て良かった」と話した。

 神山町では、青石がユネスコ日本庭園に使われた史実を広く伝えようとの機運が高まっており、昨年4月に神山温泉でパネル展が催されたほか、今年4月には町が阿野地区2カ所に案内看板を設置し、広石渓谷には標柱を立てた。森下さんは「活動の励みになる」と話した。