【上】台風による倒木や土砂崩れで被害を受けたキレンゲショウマ群生地=23日、剣山(新居綱男さん提供)【下】群生地付近の地図

 17日に徳島県に最接近した台風11号による雨の影響で、剣山(1955メートル)中腹にある高山植物キレンゲショウマの群生地と周囲の登山道で山腹崩壊や倒木などの被害が出たことが分かった。今はちょうどキレンゲショウマが咲き始め、例年多くの見物客が訪れる時季に当たるが、2カ所の群生地のうち1カ所には近づくこともできない状態となっている。復旧のめどは立っておらず、関係者は注意するよう呼び掛けている。

 剣山のキレンゲショウマの群生地は、両(りょう)剱(つるぎ)神社を挟んで北側と南側の2カ所にある。台風が四国を縦断した後の18日、剣山頂上ヒュッテの管理人新居綱男さん(77)が一ノ森と剣山との間の登山道を点検したところ、南側の群生地と周囲の登山道の複数箇所で土砂崩れや倒木が発生しているのを見つけた。新居さんは、危険だとして南側の群生地へは行かないよう求めている。

 北側の群生地付近に目立った被害はなく、登山リフトの西島駅側にある「刀(かたな)掛(がけ)の松」からの登山道を通れば行くことはできるが、その先に山腹崩壊箇所があるため、通り抜けはできない。

 2カ所の群生地の辺りは「行(ぎょう)場(ば)」と呼ばれる岩場で、この時季には例年、多くの登山客やカメラマンらが訪れる。新居さんは「残念だが、(北側の)群生地が被害を受けなかったのは不幸中の幸い」と話している。

 剣山のキレンゲショウマは7月下旬から8月中旬にかけて黄の愛らしい花を咲かせる。宮尾登美子の小説「天涯の花」で取り上げられたことで有名になった。2カ所の群生地のほか、見ノ越からの登山リフトの付近に小規模な群生があり、リフトから眺めることができる。