島外への強制退去命令が出されてから100年の節目に写真展を開く阿部さん=吉野川市川島町桑村

 吉野川の中州・善入寺島の住民に国の強制退去命令が出されてから、今年で100年を迎えたのを機に、地元のアマチュア写真家阿部和剛さん(35)=吉野川市川島町桑村、日本料理店経営=が29日~8月16日、四季折々の島の姿を捉えた写真展を徳島市立木工会館で開く。今は無人の中州だが、かつては3千人以上が暮らしたという史実を知る人も少なくなった中、阿部さんは「善入寺島の歴史を後世に伝えたい」と話している。

 写真展は「善入寺島・四季折々の営み展」と題し、この6年ほどの間に撮影した作品の中から、厳選した12点を紹介する。作品は阿波和紙に印刷し、独特の質感を醸し出している。善入寺島に自生する竹を使い、阿部さんが自作した古民家の模型2点も展示する。

 阿部さんは島の広大な風景に引かれ、2009年から足しげく通い、レンズを向けてきた。高越山を背景に水田を撮った一枚は、整然と並んだ稲が果てしなく続くようで島の広大さが伝わる。島から見た夜明け前の一枚は、薄紫に染まった空が美しい。

 善入寺島は1915年の強制退去後も元住民に耕作は認められ、現在は約560戸がダイコンやナス、キュウリなどを栽培している。ただ苦難の歴史を知る市民が少なくなっており、こうした状況を憂慮した阿部さんは当時を振り返る機会をつくろうと、写真展を思い立った。阿部さんは「雄大な景観が魅力的。写真を見て関心を持ってほしい」と話している。

 阿部さんは川島高卒業後、大阪の料亭勤務などを経て23歳でUターン。地元の旧川島町を中心に風景写真を撮るようになり、2012年には写真集「ふるさと川島」を自費出版している。写真展の問い合わせは徳島市地場産業振興協会<電088(626)2453>。