多分に手前勝手なところがあったにせよ、米国は国際社会で人権擁護の旗振り役だった。その役割をまるで顧みようとしないトランプ政権の振る舞いにはあきれるばかりだ。

 「イスラエルへの慢性的な偏見がある」とし、今度は国連人権理事会(理事国47カ国)からの離脱を表明した。

 昨年10月には、同じ理由で国連教育科学文化機関(ユネスコ)脱退も決めている。イスラエルへの露骨な肩入れ政策の一環といえよう。

 中国やベネズエラなど、人権侵害国が理事国入りしていることへの不満もあらわにした。確かに、この点はこれまでも言われ続けてきた課題である。であれば組織にとどまって、内部から改革していくことこそ大事ではないか。

 米国の離脱で、中国やロシアといった人権状況に問題がある国の発言力が強まる可能性がある。そうなれば、国連加盟国の人権問題を監視してきた人権理の弱体化は否めない。

 発足以来、「米国第一」を掲げて国際機関や国際協調の枠組みから相次いで離脱し、孤立を深めるトランプ外交に各国は気をもんでいる。人権理を巡っても一斉に遺憾の意を表した。

 ところが、日本は論評を避けた。米側の反発を恐れたのだろうが、トランプ流の人権感覚に寛容と見られるのは、到底得策とはいえまい。

 トランプ大統領との親密な関係を強調する安倍晋三首相である。再考を促せるのは、首相をおいて他にいない。