憲法をテーマに熱心に意見を交わす若者ら=徳島市のダイニングバー「COCO」

 憲法をテーマに、お茶を飲みながら気軽に話し合う「憲法食堂」が、大学生や若者らの関心を集めている。2014年に徳島大で始まり、より多くの市民に参加してもらおうと、15年度から開催場所をバーや神社などキャンパス外にも広げた。安全保障関連法案をめぐる国会審議が大詰めを迎える中、市民レベルでも高まる憲法論議。戦後70年の節目に、平和憲法の存在意義が問われている。

 憲法食堂は当初、徳島大教授や県内の弁護士有志が助言役となり、大学生を中心に開かれていた。工夫を凝らした試みを知り、憲法をテーマにした対話集会などを行っている日本青年会議所四国地区徳島ブロック協議会が本年度からの共催を申し出た。

 運営を担当する徳島青年会議所の藤川修誌さん(35)は、まず憲法を学び、知る「知憲」の重要性を訴える。政治や憲法の話題は難解で硬いイメージがあり、敬遠する若者が少なくないからだ。

 「幅広い人が大勢集まる場所で開き、政治にあまり関心のない人も参加しやすい環境をつくりたかった」と藤川さん。5月末に徳島市のダイニングバーで開いた「食堂」は、2時間にわたって熱い議論が展開された。

 集まったのは学生や会社員、飲食店の従業員、元自衛官ら10~30代の約130人。「9条改正という言葉を聞くけど、内容は知らない」「そもそも憲法って何?」。10グループに分かれ、あらかじめ設定された集団的自衛権や原発問題などのテーマで意見を交わした。普段は聞けない基本的なことや素朴な質問も飛び交った。

 参加した徳島大総合科学部4年の高野大樹さん(22)は「政治に関心がないわけではない。世代が近い社会人と意見を交わすのは刺激的で、もっと機会を増やしてほしい」と歓迎する。

 これまで県内での憲法をめぐる論議は、講演会やパネル討論など専門家の話を一方的に聞く方式が主流だった。また護憲派、改憲派それぞれで開かれることがほとんどで、お互いの主張について理解を深め合うことは少なかった。

 「知憲」に重点を置く憲法食堂には改憲、護憲双方の立場の人が参加する。藤川さんは「賛否両論を含めてさまざまな意見を聞くことで、一人一人が憲法に対する自分なりの考えを持つことが重要だ」と訴える。

 安倍政権は来夏の参院選以降、憲法改正の発議を目指している。憲法食堂を発案した一人、徳島大の中里見博准教授(憲法学)は「改憲を問う国民投票では、正しい知識を持って1票を投じるためにも、知憲の動きを広げていかなければならない」と話す。

 憲法は集団的自衛権などの安全保障分野だけではなく、日常生活に密接に関わっている。国の行く末はどうあるべきか。私たちは今、大きな岐路に立たされており、草の根レベルでの一層の議論が求められている。