「数十年に1度」という記録的な大雨が、西日本を中心に各地を襲った。51人に上る人の命を奪い、多くの安否不明者が出ている。

 警察や消防、自衛隊などによる懸命の捜索が続いているが、近づけない現場も少なくないという。二次災害を警戒しつつ、救命救助に全力を挙げてもらいたい。

 活発な梅雨前線による豪雨であり、気象庁が出した特別警報は9府県に及ぶ。同時多発的に甚大な被害をもたらすなど猛威を振るった。

 引き続き、土砂災害や川の氾濫、浸水に対する警戒を続けなければならない。速やかに避難できる態勢を整え、身の安全を確保したい。

 広島県では、土砂崩れが多発した。三原市では3人の遺体が見つかり、広島市安佐北区口田南では3人が死亡、浸水被害があった呉市では子どもの遺体が見つかるなど、最も多くの犠牲者が出ている。

 松山市沖の離島・怒和(ぬわ)島の住宅では、裏山が崩れ、土砂に巻き込まれた小学生2人を含む3人が亡くなった。痛ましい限りだ。

 日本気象協会によると、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降ると、土石流が発生する危険性が高まるという。裏山などの異変や前兆に目配せすることが欠かせない。

 崖にひびが入っていたり、立木が裂ける音や岩が転がるような音がしたりした場合は早急にその場を離れるなどの注意を払いたい。

 強い雨が断続的に降り続いた徳島県内も、十分に警戒しなければならない。

 三好市池田町内では、山腹崩壊によって、川に土石が流れ込んでいるほか、同市山城町では落石が川の流れを阻害し、山崩れで川がせき止められる「土砂ダム」に発展する恐れがあるという。

 県外で起きているようなことは、本県でも起こり得るという認識をしっかりと持っておくことが大事だ。

 折しも、40人が犠牲になった九州北部の豪雨から1年がたった。5日付本紙特集は、想定をはるかに超える記録的集中豪雨が山間部を直撃し、復旧復興の見通しが立っていない状況を伝えている。

 今回のこの記録的な大雨もそうだが、長時間降り続けた雨による危険性を考慮した大雨特別警報は2013年に運用開始して以来、全国で出され、被害は後を絶たない。

 改めて驚くのは、1時間50ミリ以上の大雨が発生した回数も右肩上がりの傾向にあり、気象庁の統計では、約40年間で約1・4倍にもなっていることだ。

 梅雨末期の雨、ゲリラ豪雨など、ひとたび降れば、油断はできない。猛烈な勢力の台風8号が発生し、進路も注視する必要がある。

 自分だけは大丈夫、自分の住む場所は大丈夫だといった考えは通らない。大雨、大水害は、いつどこで起きても不思議ではない。どう備えていくか。しっかりと対策を取っていかなければならない。