玄関や台所に流れ込んだ土砂をかき上げる西岡ミサ子さん=8日、三好市山城町光兼

 

 西日本豪雨で土砂崩れが相次いだ三好市山城町。家屋の浸水被害は少なからずあるとみられるが、市によると、9日午後8時時点で人的被害はない。白川谷川沿いに広がる通称・河内地区(光兼など6集落)の住民は、増水で民家10戸が全壊するなどした1983年の台風被害の経験を生かし、命を守った。
 
 山城町光兼にある西岡昌男さん(83)方=木造2階建て=には6日深夜から7日未明にかけ、白川谷川が増水した影響で土砂が流れ込んだ。西岡さんは6日夕から妻ミサ子さん(74)と近くの河内分館に避難していたため、無事だった。

 7日朝に帰宅すると、1階の台所や居間、倉庫には流入した泥や石が30センチほど積もっていた。「早めに逃げて良かった」。西岡さんは被害の大きさに驚きつつも、安堵(あんど)の表情を見せた。

 地区には6日夕の時点で既に避難勧告が出ていたが、避難の決め手となったのは増水する川の様子だった。「橋脚が見えなくなるくらい増水していて危ない予感がした。あの時の経験が生きた」

 「あの時」とは35年前の台風被害。白川谷川が氾濫し、多くの家屋に被害をもたらした。現在と同じ場所にあった西岡さんの自宅には大量の土砂と濁流が流れ込んだ。

 西岡さんは妻と共に泥や石をスコップでかき出しながら「当時も同じようにかき出した。被害は当時に匹敵する」とつぶやいた。

 光兼集落で長年建築業を営む山口正義さん(67)によると、地区では83年の台風襲来時、電話が不通になったため、アマチュア無線を駆使して住民同士で密に連絡を取り合い、被害の確認に当たった。今回は5日から携帯電話で「雨が強くなりそうだから明るいうちに避難しよう」などと声を掛け合ったという。

 山口さんは「けが人もいなかったのは幸い。地域の絆で助かった」と話した。