一帯が冠水した町をゴムボートで回り、捜索活動に当たる有志=8日、岡山県倉敷市真備町(矢野さん提供)

 三好市でラフティング会社を運営する矢野哲治さん(54)=同市池田町州津=らリバーガイド有志10人が8日、岡山県倉敷市真備(まび)町に入り、大型ゴムボートを使って取り残された人たちの捜索活動を行った。

 矢野さんが一般社団法人ラフティング協会に加盟する三好市内のラフティング会社に呼び掛けた。8人乗りボート4艇を車に積み現地へ。到着した倉敷市真備町は辺り一面が冠水していた。灯油の臭いが立ち込め、目が痛んだ。

 交通規制された道路を警察官に通してもらい、4組に分かれてボートをこぎ出した。ピーク時に比べ水位は1メートルほどに下がり、生存者の救助活動も一段落していた。

 そんなとき、大森望さん(25)=池田町イケミナミ=たちは60代の男性に声を掛けられた。「足腰の弱い母親が家の中に取り残されているかも」。車が水面に浮かび、石垣などの障害物が沈む中、男性の母親宅に向かった。2階の窓を割って家に入ったものの、水が流入した1階には下りられない。外から1階の窓をのぞくと、女性の腕が見えた。既に事切れていた。

 別のボートの阿部雅代さん(39)=山城町大川持=らも、50代の男性に母親の救助を求められた。「母親から早朝に『屋根裏まで逃げたけど水が迫ってきた』と電話があった。そのまま連絡が取れない」。高さ1メートルまで床上浸水した家の中に入ると、天井部分で動かなくなった下半身が見えた。

 両方の現場に立ち会った日隠(ひがくれ)健さん(42)=池田町馬路=は「もっと早く向かっていれば」と悔やむ。2011年の東日本大震災では1週間後に現地入りした。「自然の怖さを知っているからこそ、役に立てることがあると思う」と話した。

 当初は吉野川の氾濫を想定して救助活動の準備をしていた。矢野さんは「消防や警察の手が回らない部分を補うため、地域の自治組織が組み入れられた指示系統が必要だ」と訴えた。