夏の全国高校野球選手権大会が今年、100回を迎える。1915年に始まり、戦時下の中止もあったが、夏の風物詩として、広く親しまれてきた大会である。

 その中で徳島県勢は数々の名勝負を繰り広げ、輝かしい成績を収めた。節目を祝うとともに、栄光の球史を次世代に継承したい。

 夏の甲子園で、まず挙げられるのが池田高校だろう。82年、畠山準投手を擁し、徳島県勢として悲願の全国制覇を成し遂げた。桁外れのパワーが生み出す強打は「やまびこ打線」と名付けられ、高校野球を変えたと言われる。

 続く春の選抜大会でも、水野雄仁投手をエースに優勝し、夏春連覇を達成。全国の高校野球ファンは何度も池田高校の校歌を聞き、徳島に思いをはせたことだろう。

 徳島県勢の夏の優勝は82年の1回だけだが、徳島商業高校と鳴門高校、池田高校が1回ずつ準優勝に輝いた。ベスト4が2回、ベスト8が7回に上る。

 甲子園での活躍によって、県内の野球熱が高まり、好循環が生まれた。

 鳴門工業高校を率い、今は早稲田大野球部監督の高橋広さんは、6月に徳島市であったスポーツ懇話会でこう述べている。「プロ野球や社会人野球に徳島から多くの選手を輩出している。人口からするとすごいことだ」

 人口が100万人に満たない本県にあって、球史に残る選手を多く育成してきたことは誇りである。

 ただ、状況は変わりつつある。少子化とスポーツの多様化により、野球に目を向ける子どもが減っている。

 日本高野連が加盟3957校に行った調査では、30・2%がサッカーなど他の競技が野球人気を「上回っている」と回答。5年前の前回調査より18ポイント近く増えた。

 野球人気の陰りは、部員数にも表れている。全国の総数は15万3184人(5月末時点)で4年連続の減少となった。徳島県は1093人と昨年度より61人減った。

 今年の徳島大会に出場する31チームの部員数をみると、最少は11人、最多は91人と二極化している。4チームは15人以下にとどまる。

 中学校の軟式野球も単独でチームがつくれないケースが相次いでおり、高校球児の減少は避けられない。

 しかし、悲観しても仕方がない。全国大会での活躍も大事だが、高校スポーツの目的は生徒の健全育成にある。

 リードされても最後まで諦めない、一つのミスを全員でカバーする。選手のひたむきなプレーと成長していく姿は、多くの人に勇気を与えているに違いない。

 徳島県の指導者が積み重ねてきた育成の大切さは、これからも変わらない。

 徳島大会が、きょう開幕する。今年はどんなドラマが繰り広げられるのか。出場チームの熱い戦いを期待するとともに、声援を送りたい。