「お亥の子さん」を練習する貞光小児童と西岡田さん夫妻=つるぎ町の同小

 つるぎ町貞光の猿飼集落で行われてきた豊作を願う伝統行事「お亥(い)の子さん」が30日、四半世紀ぶりに復活する。端山小学校猿飼分校の閉校に伴い1990年を最後に休止していたが、貞光小の児童が取り組むことになった。標高約300メートルの山あいに、子どもたちの歓声が久々に響く。

 県西部2市2町などでつくる徳島剣山世界農業遺産推進協議会が、急傾斜地の文化を掘り起こし、世界農業遺産登録に弾みをつけようと企画した。

 行事は旧暦の10月の最初の亥の日に、古くから伝わる「亥の子歌」を歌いながら、子どもたちが集落の家々を訪問。「たてずき」と呼ばれる木の幹(長さ約40センチ)で、つるを巻き付けた道具を使って地面をたたき、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る。

 猿飼集落では150年以上前から行われ、集落の人からお礼に菓子をもらうのが子どもたちの最大の楽しみだった。

 協議会から依頼を受けた猿飼集落の農業西岡田治豈(はるき)さん(74)が「亥の子歌」の歌詞を郷土色豊かにアレンジ。歌を通して町の文化について学べるように、剣山や吉野川といった町の風景や、半田そうめん、柿などの特産品を盛り込んだ。

 当日は貞光小の1年生22人が参加。端山小猿飼分校のほか、集落の4軒を巡る。西久保元汰君(7)は「みんなで上手にできるように頑張りたい」と笑顔を見せる。

 担任の山本郁代教諭(59)は「町の文化や歴史に触れることで、地域を大切に思う気持ちを育んでほしい」。西岡田さんは「地元の子どもたちが復活させてくれると聞き、感謝の気持ちでいっぱい」と喜んでいる。