西日本豪雨の被災地も猛暑に見舞われている。安否不明者の捜索や復旧など炎天下での活動が強いられる中で、急務となっているのが大量に出た災害ごみの処理だ。

 学校の校庭や道路沿いには本棚や冷蔵庫、土砂にまみれた畳などが山積みされ、悪臭も漂っているという。処理に手間取れば、生活再建や交通の妨げになるだけでなく、衛生面で深刻な事態を引き起こしかねない。

 住宅の片付けなどが本格化するにつれ、災害ごみの量は膨らむだろう。平成に入って最悪の水害となった今回、数十万~100万トン近くになるとみられる。これをどう処理していくか。国は、被災した自治体と共に知恵を絞らなければならない。

 災害ごみの処理を巡って問題となっているのは事前の計画である。土砂崩れや川の氾濫で、多くの死者が出た愛媛県の宇和島、西予、大洲の3市は災害ごみの処理方針を定めた「災害廃棄物処理計画」を作っていなかった。

 自治体が仮置き場の候補地を決め、ごみの収集運搬方法などを盛り込むもので、広島県の呉市や熊野町なども未策定だったという。

 大洲市は災害ごみの量が5万トンに達する可能性がある。担当者が「事前に策定していれば、被災直後や被災後1週間の段階ごとに、どのように動けばいいか想定できた」と話している通り、計画があれば処理の流れは見えていたかもしれない。

 大規模な浸水被害に遭った岡山県倉敷市真備町地区では推計で最大7万~10万トンに達する見通しという。3年前の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊し、広範囲に浸水した茨城県常総市で出た災害廃棄物量5万2千トンを上回る規模だ。

 倉敷市は仮置き場を増やし、現在5カ所で対応しているが、道路脇などにも積み上げられている状態である。

 中川雅治環境相は、大量の災害ごみについて、自治体をまたいだ広域処理を推進する考えを示した。被災地には、浸水などの被害で使えなくなっているごみ処理施設もあるだけに、県境を越えた取り組みを効果的に進めていかなければならない。

 これまでも地震や豪雨による大規模な災害が起きるたびに、災害ごみへの的確な対応が課題となってきた。

 しかし、環境省の調査では全国の市区町村のうち、処理計画策定済みの自治体は昨年3月時点で24%にとどまっている。災害対応の経験がある職員が少ないといった理由だが、災害が起きてから対応しても遅いのは明らかだ。

 災害は、いつどこで起きても不思議ではなく、想定外では済まされない。

 徳島県によると、県と22市町は策定済みで、上勝と佐那河内の2町村も本年度中に作る予定だ。

 今回の事態を踏まえ、計画の点検を進めていく必要がある。広域支援、連携の在り方も改めて探っておきたい。