人口減少時代にふさわしい自治体行政の在り方を巡る議論が、地方制度調査会(地制調)で始まった。

 政府は2年以内に具体案の答申を受け、必要な法整備を図るとしている。

 今後予想される高齢化と人口減のペースを考えると、国民生活に密接に関わる自治体改革は待ったなしだ。

 地制調は、それぞれの地域の事情に配慮しながらも国民に意識改革を促すような、実効性のある仕組みを早期に示してもらいたい。

 地制調の議論が見据えるのは、高齢者人口がピークを迎えるとともに、人手不足が深刻化する2040年ごろの自治体行政である。

 団塊の世代が全員75歳以上になる25年以降も高齢化と人口減に歯止めはかからず、第2次ベビーブームの「団塊ジュニア世代」が65歳以上になる40年ごろには、高齢者人口は約4千万人に達する。

 人口が1万人未満の自治体も大幅に増える見通しだ。

 今後20年余りで、日本社会はかつて経験したことのない事態に直面する。

 そうなれば、それぞれの市町村が単独で全ての分野の施策を手掛ける「フルセット方式」の行政運営は立ち行かなくなるだろう。

 本格的な人口減少時代に突入しても、住民の暮らしに不可欠な医療、福祉、教育、インフラといった公共サービスを維持するのは、自治体の責務である。

 これを受け総務省の有識者研究会は、複数の市町村で構成する「圏域」を新たな行政主体として法制化し、連携して行政サービスを担う態勢を整えるよう提言した。

 圏域を法制化することで、まちづくりや救急・医療体制の構築など、自治体間で利害調整が難しい課題に対応できる仕組みを整える。有識者研究会の提言には、そうした狙いがあるのだろう。

 これまでの延長線上で自治体に連携を求めるだけでは、満足のいく行政サービスは望めないということだ。

 少子高齢化に伴う若年労働力の不足は、自治体の組織体制にも深刻な影響を及ぼす恐れがある。

 人材難で職員が激減しても行政機能を維持できるよう、人工知能(AI)やロボット工学などの先進技術を使い、業務の自動化や省力化を図っていく必要がある。

 自治体間の連携を円滑に進めるには、情報システムや各種申請手続きの共通化が欠かせない。都道府県が小規模市町村の業務を代行する仕組みも真剣に検討すべきだ。

 もとより、高齢化や人口減の進み具合は地域によって異なる。連携の在り方でも、いろんな事情が絡んでくるはずだ。地域の実態にそぐわない画一的な方策を示しても、自治体改革は前進しない。

 地制調は、議員のなり手不足が課題になっている議会制度の在り方も含め、地域の多様なニーズに対応できる柔軟な選択肢を示してほしい。