命に関わる暑さが続いている。熱中症の救急搬送が急増し、16~22日の1週間に全国で2万2647人に上った。総務省消防庁が集計を始めた2008年以降で最多だ。

 このうち、亡くなった人は28府県で65人。昨年(5~9月)の死者数48人を1週間で上回るなど、憂慮すべき事態になっている。

 気象庁は23日、猛暑に関する異例の記者会見を開き「命の危険がある暑さ。災害と認識している」と表明した。危機感を持って、しっかりと対応しなければならない。

 埼玉県熊谷市では同日、41・1度を記録し、国内最高記録を5年ぶりに更新した。きのうも日本列島は広く高気圧に覆われ、気温が上昇。気象庁は関東甲信から西日本にかけての各地に高温注意情報を出し、熱中症予防に必要な対策を取るよう呼び掛けた。猛暑は2週間ほど続くとの見通しである。

 熱中症は、暑さで体温調節の機能が働かなくなり、体に熱がこもって意識障害や発熱などの症状が起きる。一気に重症化することがあり、死に至る場合も少なくない。

 暑い場所を避け、こまめに水分補給するなどして体調管理に努めたい。

 とりわけ注意が要るのは高齢者だ。汗をかきにくくなるため体温を下げられず、喉の渇きも暑さも、感じにくいと指摘されている。ただでさえ暑い昼間、屋内で普通に過ごしていても熱中症になるケースもあるようだ。

 有効な手だてはエアコンの活用である。「冷えすぎる」「もったいない」などの理由で夜間、使用を控える人もいるが、適切な室温管理を怠ってはならない。

 子どもも同様である。背が低ければ日の照り返しを強く受け、「汗腺」が十分に発達していないため、体に熱がたまりやすいという。

 地面と近いほど気温が高くなる。乳幼児は具合が悪くなっても、それをうまく伝えられないことも、心しておかなければならない。

 健康な人であっても、めまいや立ちくらみなどの異変があれば、熱中症の初期症状かもしれないと疑い、早急な対策を講じるべきだ。

 熱中症予防がこれだけ言われながらも、発症するまで対処できない人が多い。そこには直面する異変や不安に対して、「大したことはない」と考えてしまう「正常性バイアス」と呼ばれるものがあるのではなかろうか。油断してはならない。

 岩手県釜石市の防災教育で知られ、災害社会工学が専門の片田敏孝・東京大大学院特任教授による「熱中症は命に関わると知っている。対策も分かっている。ただ、自分が当事者になるとは思えないのではないか」との分析に、耳を傾ける必要がある。

 今回の猛暑が「災害」であることを忘れてはならない。「自分だけは大丈夫」という考えを排して、十分な対策を講じたい。