徳島県教委が、県立博物館の常設展スペースのリニューアルに関する基本構想案をまとめた。2年後の開館30周年を視野に、初の全面改装が行われる見通しだ。

 テーマを「徳島まるづかみ!」とし、地域の特色やモノへのこだわりを打ち出した。約2500平方メートルの空間を生かし、地球規模の視点を失わず、徳島の自然や歴史、文化が分かる展示を目指す。

 ファンやリピーターが増加することを期待したい。

 具体的には、メイン、ロビー、コミュニケーションの3ゾーンに分け、中央に回廊のミュージアムストリートを設けることにした。

 メインゾーンの中核となる徳島セクションは、ジャンルごとに複数の小部屋とする方針だ。入館者はミュージアムストリートを起点に、各部屋に出入りする。

 小部屋の展示品を全て入れ替えるなど大規模な展示替えが容易になるのが、リニューアルによる改善点の一つだ。

 現在の常設展スペースは総合展示室、部門展示室、ラプラタ記念ホールで構成。一方通行の順路に従って見学する構造で、展示替えが難しいという問題点があった。

 改装では、映像や仮想現実の技術を導入するほか、実際に手で触れ、展示品が身近に感じられる工夫を施す。より体験型の施設に近くなるのは家族連れらに喜ばれよう。

 県立博物館が収蔵する53万点近い資料の中には、県民がまだ目にしていないものが数多くある。有効活用や五感に訴える展示によって新鮮さが生まれるだろう。

 開館30年が迫っての改装は歓迎だが、あまりにも遅過ぎないか。

 県立博物館の開館は1990年11月。97年度を皮切りに、館は何度も更新計画案を策定したが、財政難などを理由に見送られてきた。

 展示ケース、照明、模型などは老朽化が進み、ユニバーサル化への対応も十分ではない。蓄積した資料を生かしきれず、「展示が変わり映えしない」との声が多く寄せられるようになっていた。常設展の入館者数は2016年度を除くと、近年は3万~4万人台で推移している。

 常設展スペースのリニューアルにとどまらず、企画展の開催や資料の購入なども見直す必要がある。

 企画展は年3回の開催が通常で、4回の年もあった。ところが、予算削減のあおりを受け、09年度以降は2回が増えている。

 資料購入では、05年3月に県美術品等取得基金が廃止された。その後の購入は数えるほどしかない。コレクションを県民らからの寄贈や、学芸員の採集などに頼っているのが実情だ。

 県立博物館は、訪れる人たちが展示されている資料などを通じて、新たな知識と出合う学びの場である。県や県教委は総合博物館として、その価値や魅力を高める努力を惜しむべきではない。