文部科学省はどこまで国民への背信を続けるのか。同省前国際統括官の川端和明容疑者が、収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

 川端容疑者は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に出向していた2015年から17年にかけ、贈賄容疑で逮捕されたコンサルタント会社元役員の谷口浩司被告から総額140万円相当の飲食接待を受けた疑いが持たれている。

 文科省では、私立大の支援事業を巡る受託収賄事件で、前科学技術・学術政策局長の佐野太被告が起訴されたばかりである。

 1カ月の間に2件の汚職事件が相次ぎ、局長級の幹部2人が逮捕される異常事態だ。文科省の信用は地に落ちたと言えよう。回復への道は険しいことを覚悟しなければなるまい。

 川端容疑者への飲食接待は、東京医科大で16年にあった式典に宇宙飛行士を派遣した見返りとみられる。接待を重ねたほか、タクシーチケットを受け取った疑いもある。

 事実とすれば、由々しき「たかり体質」であり、恥ずべき行為だ。

 谷口被告は、私大支援事業を巡る汚職事件にも関わっている。在宅起訴された東京医科大前理事長の臼井正彦被告らと佐野被告との会食の場を構えたなどとして、受託収賄ほう助罪で起訴された。

 会食が契機となり、佐野被告は官房長だった昨年5月、私大支援事業の選定で東京医科大を優遇するよう臼井被告に頼まれた。謝礼として、今春の入試で息子を不正に合格させてもらったとされる。

 川端容疑者と佐野被告は共に旧科学技術庁の出身で、将来の事務次官候補とも目されていた。エリート官僚が二つの汚職事件を巡り、谷口被告という「ブローカー」と称される人物とつながっていた構図が成り立つ。

 谷口被告は親しい政治家を通じ、省内で営業活動を繰り広げていたようだ。ほかにも接待などの見返りを受けた官僚がいないのか。特捜部には徹底した捜査を望みたい。

 谷口被告が設けた会食の場には、戸谷一夫事務次官も出席したことがあるとみられている。会食の趣旨は現時点で不明だが、軽率とのそしりは免れないだろう。

 疑問に思うのは、林芳正文科相の主導力である。私大支援事業を巡る汚職事件を受け、経緯などを究明するために予定していた第三者委員会の設置を、一転して延期した。捜査や公判への影響を避けるためと言うが、率先して自浄能力を示さないのはなぜなのか。

 違法な口利きなどを防ぐ仕組みを築くのが急務である。捜査と並行して内部調査を行い、対策を講じるべきだ。

 文科省では、若手や中堅職員の有志約40人が連名で、戸谷次官らに早急な改革を訴える異例の申し入れを行った。この際、幹部を一掃して若返りを図り、出直すくらいの決意も必要ではないか。