徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

私たちが使用できる抗菌薬は限りなく存在する訳ではありません。抗菌薬を使えば使うほど細菌は抗菌薬に対して耐性を獲得し、どんなに強力な抗菌薬でも効果が見られなくなります。しかし古い薬でも感受性があれば効果は十分見られます。

細菌が耐性を獲得するのは不必要な抗菌薬の使用や不適切な使用によります。治療上必要な抗菌薬は十分量の薬剤を出来るだけ短期間の使用に止めます。不十分な投与量や必要以上に長期間の使用は耐性菌を増やします。また広範囲な細菌に効果がある薬剤は耐性菌が出来やすいと言われます。対象の細菌だけに効く薬を選択することも大切です。

小児に使用できる抗菌薬は成人に比べて副作用の発生などの理由から限られています。特にニューキノロン系の薬剤で小児に使用できるのはオゼックスと言う薬のみです。ニューキノロン系の抗菌薬は成人で沢山使用された結果、現在多くの薬剤が耐性菌のために使用できなくなっています。

他剤が効かない場合にのみ使用できる薬剤にオラペネムと言う薬があります。適応症は肺炎、中耳炎、副鼻腔炎に限られています。これは貴重な内服薬で、切り札的な薬剤です。

オゼックスやオラペネムが比較的手軽に使用されている場合が見られます。現在使用できる大切な抗菌薬に対して耐性菌を作らないためにはこれらの薬を適正に使用しなければなりません。しばらく抗菌薬を使用しなければ耐性菌も感受性を回復します。大切なのは耐性菌に対して効果のない薬は使用しないことです。