徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 子どもの体温は大人よりも高い傾向にあります。これは体が小さく環境の温度に影響を受けやすいことや、新陳代謝が活発で熱産生が多いこと、さらに体の大きさに比べて体表面積が大きく熱放散率が高いことなどが関係しています。

 また体温には個人差や日内変動がありますからそれぞれが健康な時に体温を測定して平熱を知っておくことが大切です。体温は測定方法や測定時間によって異なりますから、平熱を知るには同じ時間帯に、同じ測定方法で、同じ体温計で測定します。

 平熱は年齢と共に変動します。新生児期や乳児期早期には高く、成長と共に低下します。

 小児科では子どもが発熱を主訴に受診することが多く見られます。これは発熱が多くの感染症の初発症状になることが多いためです。子どもは多くの感染症に抵抗力がありませんから、ウィルスや細菌に感染する度に発熱します。感染症に罹って体に危険が及ぶ場合には体内のサイトカインと言う物質が体温調節中枢を刺激して発熱するように働きかけます。発熱は生体内の免疫機構の働きのひとつですから必ずしも生体にとって不利益な働きばかりではありません。

 発熱に伴って生体内の免疫機構が活性化し、抵抗力が発揮されます。また発熱があると体は余分な消耗を防ぐために活動を抑制して安静をとろうとします。このように発熱は生体防御機構として働きます。

 ただ、高熱は体力のない子どもには食欲低下や睡眠障害を来し、栄養状態の悪化や却って体力の消耗につながることがあります。辛い場合には解熱することも大切です。