徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

おたふくかぜは流行性耳下腺炎とも呼ばれ、はしかや水ぼうそうと並んで伝染性疾患の代表です。おたふくかぜは軽い病気のように考えている人が多いようですが治療法がなく、神経系の合併症が見られることもあり、小児にとって大切な疾患です。今月はおたふくかぜについて考えてみました。

おたふくかぜは耳下腺や顎下腺など唾液腺の腫脹を特徴とするウィルス性の疾患です。しかしおたふくかぜの耳下腺腫脹はひとつの症状に過ぎません。このウィルスは耳下腺や顎下腺だけでなく中枢神経、内耳、精巣や卵巣、膵臓、腎臓、心筋、乳腺など全身の様々な臓器で増殖してその臓器の炎症を起こす疾患です。また、耳下腺の腫れないおたふくかぜもあります。このことが、おたふくかぜに不顕性感染が見られる理由です。

また耳下腺の腫れる疾患がすべておたふくかぜと言う訳でもありません。周囲におたふくかぜが流行している時以外の耳下腺腫脹はおたふくかぜウィルス以外のウィルスで耳下腺炎を起こしている可能性があります。耳下腺腫脹を起こすウィルスにはコクサッキー、パラインフルエンザ、EB、アデノ、インフルエンザ、サイトメガロ、HHV-6など様々なウィルスがあります。流行時以外のおたふくかぜの診断は簡単ではありません。

おたふくかぜウィルスによる耳下腺腫脹は普通4日以上持続すると言われます。2日以内に腫脹が消褪した場合にはおたふくかぜではない可能性があります。このような耳下腺炎は反復することがありますから、抗体検査でおたふくかぜに対する抗体の有無を調べる必要があります。