徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

睡眠は生理学的に重要な現象です。人は眠ることによって肉体的および精神的な疲れを取りますが、睡眠中には呼吸、循環、内分泌系や体温の変化などの生理的な現象が昼間の覚醒中とは異なる変動を示します。生理学的な睡眠の意義が完全に解明された訳ではありません。今月は子どもにとって大切な睡眠について考えてみました。

人は明るい昼間に起きて活動し、暗い夜間には眠って休息を取ります。このような睡眠と覚醒の変化は人の基本的な生活リズムを形成しています。布団に入ればすぐに眠ることが出来る人や、入眠直後に深い睡眠が得られて中途覚醒しない人の眠りは良質で、効率よく疲労を取ることが出来て覚醒後に熟睡感が得られます。反対に寝つきが悪く、夜間に何回も目覚める人の眠りには熟睡感がなく、長時間布団の中に居る割に疲れが取れません。

子どもの睡眠は成長に伴って発達します。昔から「寝る子は育つ」と云うことわざがあるように、ぐっすり良く眠る子どもは食欲も旺盛で栄養状態が良く健康に育つと考えられます。成長ホルモンは入眠直後の深い睡眠時に沢山分泌されますから、寝つきの良いぐっすり眠る子どもは成長も良くなります。新生児は一日中眠っているように見えますが、その睡眠は浅く短く、つまり浅い睡眠と持続の短い覚醒を繰り返しています。成長に伴って深い睡眠が多くなると、全睡眠時間は短くなり、夜間中心のまとまった睡眠と昼間の短い昼寝に分かれ、昼間に活動することが多くなります。5歳くらいになると多くは昼寝の必要がなくなり、大人と同じように一日一回の睡眠と覚醒のリズムが確立します。