レスリング協会で発覚したパワーハラスメント問題や、日本大アメリカンフットボール部の悪質な反則問題など、スポーツ界の硬直化した組織の体質に厳しい目が注がれる中、ボクシング連盟でも同様の問題が持ち上がり、波紋を広げている。

 連盟による助成金の不正流用や公式試合の不正判定などに対し、都道府県連盟幹部や元選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告発状を提出した。徳島県連の役員7人も名を連ねている。

 2011年から日本連盟のトップに立つ山根明会長の強権的な組織運営への反発が一気に表面化した形だ。

 東京五輪・パラリンピックを2年後に控えた重要な時期である。選手や指導者の不安も大きいだろう。連盟をはじめ関係機関は早急に真相解明に乗り出し、組織の立て直しを図る必要がある。

 告発状では、連盟が抱える問題として計12項目を列挙、JOCにこれらの調査に加え、連盟の資格停止を求めている。

 助成金を巡っては、日本スポーツ振興センター(JSC)から五輪出場選手に交付された240万円を、山根氏の指示で3等分されて別の2選手に80万円ずつ渡っていた。連盟は不適切な流用を認め、JOCに謝罪した。

 しかし、連盟や山根氏は他の疑惑については全面的に否定しており、混乱の様相を呈している。

 告発状の中で、とりわけ徹底的な調査が求められるのが審判員の不正判定だ。

 山根氏が過去に奈良県連盟会長を務めたことから、同県の選手に有利な判定が行われており、関係者の間では「奈良判定」とも呼ばれる。

 山根氏はこの指摘に強く反発しているが、審判への圧力があったとする関係者は少なくない。徳島県の役員も、奈良県選手の試合で不信感を抱いたことがあると証言する。

 組織的な審判不正が常態化している可能性があるのではないか。審判の判定は競技スポーツの根幹をなすものであり、言うまでもなく公正・公平でなければならない。事実とすれば言語道断だ。

 「終身会長」という山根氏の肩書きにも違和感がある。

 会長として、12年のロンドン五輪で日本勢初となる1大会複数階級でのメダル獲得を果たした功績によるものだろうが、常識では考えられないポストだ。組織の私物化以外の何ものでもあるまい。

 試合用グローブなどの不透明な独占販売や、大会での不正な財務運営なども指摘されている。

 折しも、岐阜市では全国高校総体のボクシング競技が行われている。一連の騒動で困惑しているのは選手たちだ。

 JOCなどは連盟に対し、中立的な第三者機関を設置して事実関係の調査を求めている。連盟は今回の事態を重く受け止め、全力で信頼の確保に努めるべきだ。