日本語の成り立ちや現状といった言語事象について研究する「国語学」を専攻する。「言葉とは意味を入れる『入れ物』にすぎないが、思いを伝えるかけがえのないもの。絶えず変わる日本語のかたちを学ぶのは面白い」

 日本語に向けられた愛情は深く、その興味は方言にも広がる。「例えば阿波弁の『むつこい』とか『たっすい』とかの言葉を標準語で正確に置き換えることはできない。方言には感情が加わっており、豊かな言葉だ」。その上で「とりわけ阿波弁は敬語が発達しており、優しい言葉だと思う」と話す。

 京都女子大では1994年から教壇に立ち、2008年に教授、今年4月から学生部長に就いた。学生部は授業以外の学生生活全般を所管し、寮の管理や奨学金、休退学の事務などを扱う。学生間のトラブルの仲裁をすることもしばしばだ。

 「近年の学生は自分でものを考えようとしない。グループ以外の人とコミュニケーションを取るのも苦手だと感じる」と分析し、「学生の話を聞きながら、円滑な大学運営に努めたい」。一方で「お世話になっている大学に恩返しをするという思いだが、研究時間が割かれてしまうことには葛藤もある」とも。

 阿南で生まれ、郵便局員の父、教員の母の下で育った。釣り好きの父が釣り上げたアユやアジを塩焼きや南蛮漬けにして食べた。自宅で採れたスダチは何にでもかけて食べた。徳島を離れて長いが、味覚や嗅覚に誘われ、記憶が次々とよみがえる。

 業務の合間を縫って、年4回程度は帰省する。「フェリーが盛んだったころは船内で交わされる阿波弁を聞き、徳島の空気になじんでいた。今は車で移動するため、突然徳島に放り出される感じで戸惑うこともありますね」。

 たがみ・みのる 阿南市出身。富岡西高、京都大文学部を経て京大大学院修了。1990年、京都橘女子大非常勤講師を皮切りに、大学で国語学や日本語を研究、指導する。2008年、京都女子大文学部教授。14年から学校法人・京都女子学園理事。京都市在住、54歳。