見て楽しく、踊ればなお楽しい―。徳島市の阿波踊りがきょう幕を開ける。

 乱舞を心待ちにしてきた人も多かろう。15日までの4日間、街には熱気が広がる。徳島の夏を存分に体感してもらいたい。

 終戦の翌年の1946年に本格的に再開した阿波踊りは以後、途切れることなく続いている。平和だからこその阿波踊りであり、それを改めて胸に刻みたい。

 今年の見どころの一つは、新たに取り組む有料4演舞場の「フィナーレ」だ。有名連が連続して踊り込み、最後は桟敷の観客も一緒になって乱舞を楽しむ趣向である。

 4日間とも午後10時から行われ、踊り子と観客たちが心を一つに最高潮の舞台を創り上げる試みだ。

 4~7連が次々と繰り出して、力強い男踊りや一糸乱れぬ女踊り、熟練の鳴り物などが演舞場を沸かすだろう。

 見る阿呆にも、踊る阿呆にもなって、ぜひ阿波踊りの良さに触れてほしい。

 西日本豪雨から1カ月余、被災地、広島や岡山からも踊り連が参加する。災害に負けてはならぬと、元気な姿を見せてくれるはずだ。阿波踊りには人を励ます力がある。力いっぱい声援を送って、復興への願いを後押ししたい。

 戦後73年、歌は世につれ、世は歌につれというが、踊りもまた時代とともに変わっていかざるを得ない。

 今年は、市が発足させた新たな主催団体・阿波おどり実行委員会が初めて開催する「新生」阿波踊りである。

 ただ、残念なことに、阿波踊りの運営を巡っては赤字問題をきっかけに混乱が続き、今も収束の見通しは立っていない。実行委が打ち出した総踊り中止などの方針に対し、踊り団体の一部が反発しているためだ。

 このままでいいとは誰も思っていないはずである。変化が伴うときには、往々にして紆余曲折があるが、それを乗り越えなければ、先は見えてこない。皆が知恵を絞って、解決の糸口を見いだし、阿波踊りの歴史を紡いでいくことが大切である。

 きょうから始まる本番が、踊りを愛する人たちの心を打ち解けさせ、正常化へ向かう一歩になることを願わずにはいられない。

 「平成納めの大乱舞」。そう称した、きのうの「選抜阿波おどり前夜祭」では、県阿波踊り協会所属の17連と有名連のゑびす、うずき両連の計19連、三味線グループ「阿波ぞめき渦の会」が魅力あるステージを披露した。洗練された踊りと、会場を揺るがす大乱舞、ぞめきのリズムが訪れた大勢の心を浮き立たせたのは間違いない。

 時代が移り変わっても、徳島が誇る阿波踊りを途絶えさせてはならないし、踊りは進化を続けていくだろう。

 そんな「進化形」の踊りを見て、踊りの輪にも加わってもらいたい。さあ、街へ繰り出そう。