徳島市は2023年度の完成を目指して進めている新ホール整備計画で、徳島駅西側の平面駐車場としていたホールの建設予定地を、市文化センター跡に変更することを決めた。

 遠藤彰良市長が新町西地区再開発事業の音楽芸術ホール建設を白紙にし、駅西での新ホール整備を打ち出してから1年3カ月。唐突な感は否めない。

 音楽芸術ホールの建設候補地は、元をたどれば旧市立動物園跡が最初だった。それが新町西、駅西へと移り、今回の文化センター跡である。

 こうも二転三転するのは、どうしたことか。

 昨年5月に建設予定地を駅西に決める際、市は文化センター跡と動物園跡も再び加えた計3案を用意していた。有識者会議に意見を求めた上で、遠藤市長が決断した。

 駅西が選ばれた大きな理由は、何より徳島駅と直結する交通の便の良さだった。小中校生や高齢者も利用しやすく、中心市街地が活性化する効果にも期待を寄せていた。

 ところが、駅西での事業費は、建設費や借地料、土地整備費などを含め概算で141億円に上ることが判明。新町西で市が取得額として示していた156億円に迫ったため、市議会の反発も招いた。

 さらには完成時期も、埋蔵文化財の調査が必要になるなどして、予定の23年度から5年遅れる見通しとなった。

 事業費が膨らんだり、工期が遅れたりする事態は回避しなければならないというのが、市が説明する駅西断念の理由だ。大事業ゆえに、慎重を期すのは理解できる。

 だが、これらの問題は少なくとも、3案を精査する段階で想定できた内容ではないのか。駅西でのホール建設が実現する可能性を、事前にどこまで突き詰めていたのか。見通しの甘さを指摘されても仕方あるまい。

 文化センター跡を新たな候補地としたのは「動物園跡より早く着手でき、事業費も抑制できる」と市は説明する。

 遠藤市長は「23年度の開館目標を念頭に置き、総事業費は100億円以内に抑えたい」との意向を示した。

 ただ、予想外にカネも時間もかかるという言い訳は、もう通用しないことを認識しなければならない。市の計画能力と遠藤市長の判断力が問われる。

 15年3月に市文化センターが閉鎖され、3年半近くたつ。「市内でイベントに使える会場が少ない」という不満は文化団体を中心に根強く、一日も早いホール整備が望まれている。

 ホール建設計画は、構想段階を含めると、動き始めてから四半世紀余りにもなる。
迷走を続けている最大の要因は、かねて指摘してきたように、市がホール建設の明確な理念やビジョンを持っていなかったからではないか。

 市民が愛着を持ち、次世代に誇れるホールの青写真を、今度こそ示してもらいたい。