夏休みも残りわずか。子どもの自殺は、学校の長期休暇明けに多い傾向がある。

 1972年から2013年までの過去42年間の子どもの自殺した日を分析した国の調査では、9月1日が突出していた。

 子どもたちにとって、大きなプレッシャーや精神的動揺を生じやすい時期だと指摘される。学校や家庭で、児童生徒をしっかりと見守っていくことが大切だ。

 一般的に、児童生徒の自殺は突発的、衝動的と受け止められることがある。しかし、悩みを抱えながら、さまざまなサインを発していることが少なくない。

 例えば、元気がない、不安やイライラが増して落ち着きがなくなる、投げやりな態度になる-などである。

 ひどく落ち込んだり、好きだった物事に興味がなくなったりするなど、うつ病が疑われるケースも多いようだ。不眠や食欲不振、体重減少となって現れることもある。

 子どもたちのそんな行動や態度の変化、体調不良を見逃さないようにしたい。専門家や関係機関とも連携し、適切な支援ができるよう努める必要がある。

 学校現場では、SOSの出し方、ストレスへの対処方法を身に付ける教育が進められている。

 徳島県教委などは本年度、教員を対象として自殺の実態や原因の多様さを学ぶ研修会を行った。子どもから出されるSOSに気付く感度を高めるなど、対応力の向上を図ることが重要だ。

 つらいときや、苦しいときに安心して、胸の内を打ち明けることができる環境をつくっていくことが何よりも求められる。

 これまでのさまざまな対策が一定の成果を挙げ、全体の自殺者数は減っている。

 17年の国内の自殺者数は2万1321人(警察庁調べ)。8年連続で減少している。

 県内は123人で、自殺対策基本法が施行された06年以降では最も少ない。10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率も最小の16・4になっている。

 だが、若い世代の状況は依然として深刻だ。県内の昨年の自殺者数は、前年に比べて18人減ったが、20代以下は15人で1人増となっている。

 全国的にも若者の自殺率の減少幅は小さく、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺である。若い世代の死因のトップが自殺というのは、先進国では日本だけだ。憂慮すべき事態が続いている。

 県内には、「いのちの希望」や、とくしま自殺予防センターをはじめ、多くの相談ダイヤルや窓口がある。県と共に、行政機関は一層の浸透を図り、自殺防止に取り組んでほしい。

 私たちが目指しているのは誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現だ。周囲の気付きやサポートによって防げる自殺もあることを肝に銘じたい。