徳島大学病院整形外科の西良浩一教授

 徳島大学病院整形外科の西良(さいりょう)浩一教授が、高齢者に多い腰痛「脊柱管狭窄症(きょうさくしょう)」の治療法として、患者の負担が少ない局所麻酔での内視鏡手術法を開発した。これまでは全身麻酔が必要だったことから、副作用のために手術が受けられなかった患者の治療に道を開く成果として注目される。

 脊柱管狭窄症は、加齢などで腰椎が変形し、脊柱管内にある神経根や馬尾(ばび)という神経が圧迫されて痛みが起きる病気。国内患者数は約400万人とされる。

 従来の内視鏡手術では、患者の背中中央部を切開し、直径約2センチの内視鏡をほぼ垂直に差し込む。モニターで脊柱管の内部を確認しながら、ドリルなどで神経を圧迫していた骨や靱帯(じんたい)を取り除く。

 西良教授が開発した手法は、背骨より外側の脇腹に近い部分を切開し、同約8ミリの内視鏡を患部の斜め後方から入れて同様の処置をする。患部まで遠くなるため難易度は上がるものの、内視鏡やドリルなど小型の器具を使うことで手術に伴う傷が小さく、局所麻酔で手術が可能となった。

 五輪代表やプロスポーツ選手の腰痛手術を数多く手掛けてきた西良教授は、2010年から行っている椎間板ヘルニアの内視鏡手術を脊柱管狭窄症に応用し、17年2月に1例目の手術に成功した。

 これまでに手掛けた30例の術後経過は良好で、歩行困難だった多くの高齢者が支障なく日常生活を送れるようになった。

 西良教授は「高齢者の腰痛は治りにくいと諦める人が多い。新しい手法を全国に普及させ、痛みに苦しむ患者を助けたい」と話している。

 仙台西多賀病院の山屋誠司整形外科医長は「脊柱管狭窄症に苦しむ高齢者は全国に多いとみられる。全身麻酔でしか行えなかった手術を内視鏡を使って局所麻酔でも行えるようなったのは非常に画期的だ」と評価している。