到底許されるものではない。中央省庁の障害者雇用水増し問題を巡り、国の33行政機関のうち27機関で不正算入が判明した。

 昨年雇用したと発表していた約6900人のうち、国のガイドラインに反して不正算入していたのは3460人に上るという。

 2・49%としていた雇用率は1・19%に半減し、法定雇用率を大きく下回ることになる。障害者への差別を禁じ、就労機会を広げるのを目的にした障害者雇用率制度をないがしろにするものだ。

 中央省庁のずさんさにあきれ返る。障害者らから、怒りや落胆の声が上がったのは当然だろう。

 制度を所管する加藤勝信厚生労働相は「故意か誤解に基づくものなのか今の段階で判断するのは困難だ」と述べたが、このような水増しはいつから始まり、なぜ放置されてきたのか、解明しなければならない。

 原因究明は、弁護士ら第三者による検証チームに委ねられるが、チェック体制の構築も求められよう。

 今回の問題では、国税庁と国土交通省、法務省の3省庁だけで全体の6割に当たる約2160人の水増しが分かった。障害者手帳の確認を原則とする厚労省のガイドラインを、担当者らが理解しないまま運用していたようだ。

 不正算入は地方自治体にも広がっている。37府県でも雇用数の不適切な算定があったことが判明。多くの自治体では自己申告や面談結果などを基に、担当者らが判断していたが、認識の甘さやプライバシーへの配慮から手帳の提示を求めづらく強制できなかったなどの理由が目立った。

 徳島県教委でも、水増しが明らかになっている。

 こうした状況を受け、厚労省は全国調査に乗り出すとしたが、制度について理解してもらう取り組みを強化する必要がある。

 拡大解釈などを招く要因となったガイドラインや通知の在り方も、十分に見直すべきだろう。

 障害者雇用促進法によって一定割合以上の障害者を雇うように義務付けられた企業の多くは、就労機会の拡大に向けて努力を重ねている。

 企業は法定雇用率を下回れば納付金を徴収されるが、国や自治体は「率先して雇用する立場」との考えから納付制度はなく、チェックを受けることもない。

 こうした点が、認識の甘さとともに、ずさんな運用につながったのではなかろうか。「共生社会」は名ばかりであり、数値目標を達成するだけに腐心していたとみられても仕方あるまい。

 政府は、再発防止に向けた緊急対策を10月に取りまとめる。国家公務員の採用に障害者枠を新たに設けることを検討するが、単なる数合わせに済ませてはならない。障害者雇用を推進する立場にあることを、しっかりと自覚してもらいたい。