全国の観光地で外国人旅行者が急増している。繰り返し訪日するリピーターが増えており、その行き先も、東京、京都などのゴールデンルートから地方へと足を伸ばす傾向が強まっている。

 徳島県は各地で繰り広げられている誘致合戦に後れを取っていないか。誘致を進め、受け入れ策に本腰を入れていかなければならない。

 2017年に日本を訪れた外国人旅行者は2869万人(前年比19・3%増)で、5年連続で過去最多を更新した。今年は8月中旬に2千万人を突破。過去最速だった17年よりも1カ月早い。最終的には3300万人前後となる見通しだという。

 政府は、東京五輪・パラリンピックが開催される20年に4千万人にするとの目標を掲げており、達成可能なペースで推移しているようだ。

 訪日客の伸びは、地方で顕著である。17年の都道府県別の外国人延べ宿泊数は、絶対増加数では東京や大阪などが上位となるが、伸び率でみると、地方部(15・8%増)が三大都市圏(10・2%増)を上回った。

 徳島県の伸び率は39・5%で、全国10位にランクインしている。三好市大歩危・祖谷地区の主な5ホテルでつくる「大歩危・祖谷いってみる会」が、外国人宿泊者を増やし続けていることが大きな要因といえよう。17年に5ホテルに宿泊した外国人は1万8847人で、県全体の外国人宿泊者数の2割に当たる。

 いってみる会は、祖谷渓の自然を売り込むため、ターゲットを香港に絞り、現地の旅行代理店などへの営業活動を行ってきた。

 祖谷渓は、米大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」が選ぶ「2018年に訪れるべき50の旅行地」に、国内で唯一選ばれるなど、知名度アップやブランド化に成功した代表例の一つだ。大歩危・祖谷の勢いを、県内各地に広げられないだろうか。

 地方で訪日客が増えている背景には、格安航空会社(LCC)などによる国際線の就航や、外国籍クルーズ船の寄港が急増していることが挙げられる。

 徳島阿波おどり空港にも今年1月、国際線ターミナルが整備され、香港と台湾にチャーター便が運航された。だが、定期航路については実現のめどが立っていない。

 宿泊数の伸び率で60・3%と全国1位の青森県では17年に、中国・天津への定期航路を開設している。定期便の誘致を進めたい。

 外国人旅行者による消費額は17年、初めて4兆円を超えた。5年前の4倍になる。これをどう取り込んでいくかが地域経済の鍵を握っているのは言うまでもない。

 自然や伝統文化、祭りなど観光資源の価値を高め、魅力発信に努めることが大切だ。災害や病気時の対応、多言語・キャッシュレス環境の整備など、受け入れ態勢の充実も図りたい。