地方議員のなり手不足の対策として、報酬アップや厚生年金加入といった待遇改善を求める声が議員の中に根強くある。

 共同通信が行った全国の地方議会議長へのアンケートで、なり手不足を感じているとの回答が52%を占め、その対策として48%が報酬引き上げを挙げた。

 徳島県内でも13市町議会と県議会の議長が、なり手不足と答えている。報酬引き上げを検討する議会もあり、東みよし町議会は今年3月に月額3万円アップを議決した。

 しかし、待遇改善で議員を増やそうという考えは甚だ疑問である。

 先の通常国会では自民、公明両党が、地方議員の厚生年金加入を認める法案成立を目指したが、異論が噴出し提出を断念せざるを得なかった。

 かつて地方議員には国会議員と同様、独自の年金制度があったが、2006年の国会議員に続き、11年に廃止された。平成の大合併で議員数が削減され、年金財政が維持できなくなったこともあるが、「特権的」との批判が強かったのも大きな理由だ。

 そこで自公両党が打ち出したのが、議員だけの年金制度を復活させるのではなく、地方議員を自治体の職員とみなし、厚生年金の加入を認める案だった。

 確かに、地方議員が自治体職員と同じ働きぶりなら納得できよう。だが、年4回の定例会への出席をもっぱらとするような現状を見れば、抵抗感は否めない。

 県内では、4年の任期中に本会議で質問をほとんどしない議員もいる。うその理由で本会議を欠席して海外へ出掛けたり、国への陳情などに合わせて観光に興じたりするケースもあった。

 保険料の半額は自治体が負担するため、年間約200億円もの公費支出が必要となれば、当然反発を招くだろう。

 議員への不信は根強い。最近では、神山町議選を巡り公選法違反(寄付行為)の罪で元町議5人が起訴された。待遇改善より不信を拭うことが先決である。

 アンケートでは、地方議員の厚生年金加入について地方議会議長の51%が賛成し、反対は16%だった。県内も13市町村議会と県議会の議長が賛成している。

 若手の立候補を促せるとの意見が目立ったほか、引退後の生活不安の解消につながるとの声もあった。

 とはいえ、ただ議員数を増やせばいいわけではない。質を伴わなければ議会は劣化し不信はさらに高まるだろう。

 「井戸塀政治家」という言葉があった。私財をなげうって政治に取り組み、残ったのは井戸と塀だけだったという政治家のことだ。

 議員は井戸塀政治家であれとは言わないが、地方が疲弊する中、必要なのは、寝食を忘れるくらいに地域のために働く人である。そんな人材が議員になれる道を開くことが求められている。